Scribdの参入で購読型モデルに現実性 (♥)

Scribd_logoOysterやeReatah などのスタートアップが着手したばかりの定期購読サービスを、10月1日、ドキュメント共有プラットフォームの Scribd が発表した。月8.99ドルで、対象書籍はOysterとあまり変わらないが、ハーパーコリンズ(HC)が協力し、マルチ・プラットフォーム対応。出版社も結果に満足していると表明している、目立たない形で始めていたものだが、もはやテスト段階ではない。[全文=会員]

企業出版プラットフォームで購読型モデルに参入

scribd-e-books意外とも思えるが、Scribd がこの分野ですぐにリードできる条件はあった。E-Bookはすでに2009年から販売している。購読制プログラムに参加しているのは、HCのほか、Kensington、Red Wheel/Weiser、Rosetta Books、Sourcebooks、Workmanといったところ。ビューワは各プラットフォームのScribdアプリを使う。Kindle Fire 用アプリやブラウザも使える。出版には、商業出版のほかに、企業や官公庁による corporate publishing という世界があるが、そうしたビジネス系出版プラットフォームとしては、Scribdがリーダーとなっている。今回のサービスは、ビジネス系のプラットフォームによる商業出版市場への進出ということもできる。

Webをベースとしたサービスは、重要なものであるほど、スタート時点で大々的に発表されることは少ない。アマゾンが代表的だが、ひっそりとスタートし、一定のユーザーを得て、不具合を調整し、軌道に乗ったと判断してから、目立つ形で発表する。理由はそう難しいことではなく、アクセスが集中し、サービス対応が難しくなり、簡単な調整で済むトラブルでも大げさに伝えられて悪いイメージがつくからだ。広告と連動して動いてきたメディア業界は、米国でさえ、いまだにこの方法についていけていない。

Scribd の購読サービスは今年1月にスタートしていた。Scribdはすでに6年を経過した企業で、ビジネスや公文書系のドキュメント・サービスとして定着している。月間のユニーク・ビジター数は8,000万人で、ライブラリには4,000万の無償ドキュメントが登録されている。Scribd Storeを通じた販売も行ってるし、マルチ・プラットフォームと同期機能に対応している。つまり、E-Bookの販売に必要な体制はすべて持っている。オンライン・サービスでは、月間ビジター数で表されるアクティブ・ユーザーが事実上のプラットフォームで、あとは何をどう売るかということだ。Scribd はかなり以前からE-Bookの販売を目指していたと思われる。しかし、通常の単品販売ではアマゾンなどと勝負にならない。購読制なら、価格競争を避けられるが、出版社との間で収益モデルに関する合意が必要だ。

ハーパーコリンズのブライアン・マレーCEOは、Publishers Lunchでこう述べている。「われわれは何度も話し合い、最終的にこれでいこうという点まで煮詰めて、当社も著作者たちも納得できる条件にたどり着いた。音楽業界の購読モデルとは正反対で、われわれに有利なものだ。著者の収入はかなり向上した。」と述べている。内容は、徐々に著者から漏れてくるだろうが、アマゾンのような「書店」と違い、もともとが文書共有型サービスなので、出版社/著者側に有利な条件を出したものと思われる。Scribd は企業はもちろん、法廷文書や議会、官庁文書も閲覧できるために、利用者はコンスタントに多い。Scribd Store は、立ち寄った人のためのストアで、多忙なビジネス系の読者を集める可能性がある。(鎌田、10/03/2013)

Scribdについては、少々古いが、E-Book 2.0 Forumの下記記事(04/16/2010)などを参照。

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