アマゾンが最強の販促プログラム

amazon-publising2アマゾンは11月1日、一部の自社出版物のKindle版を正式リリース前に2ドル(Amazon Prime会員は無料)で提供する Kindle First プログラムを米国市場向けに発表した。同出版のエディターが選んだ毎月4点のタイトルが対象となる。今月は12月発売予定の有名作家 Deborah Reed、Connie Brockway、J.R. Rain、Gloria Gaynor の新刊がフィーチャされている。これは出版界に大きな影響を与えることになろう。K_First
出版社による「早割」キャンペーンは、アマゾンが最初ではない。ペンギンは ‘First to Read' という会員制サービスを数ヵ月前に始めており、こちらは店頭販売の数ヵ月前で無料だが、Facebookで感想・批評を発信することが求められている。つまり、純粋に事前告知キャンペーンのためのものだ。アマゾンの Kindle First は直接に販売促進効果を狙っており、発売時にベストセラー・ランキングに登場するインパクトを期待しているようだ。著者には本プログラムについて別に同意を得ているという。

プライム会員は毎月1点を無償でダウンロードでき、理論的には会員の数だけ毎月ダウンロードされる可能性がある。では会員数はどのくらいか。もちろん正式な発表はないが、ごく控えめな数字でも、昨年末で1,000万の大台を超えたと推定されている (Geek Wire. 03/12)。1昨年末のKindle Fireの投入以降、増加のテンポはかなり速くなっており、この2年間の傾向を外挿すれば、2017年で2,500万人という推計がされている。仮に1,000万人が毎月 Kindle First を利用すると、ベストセラー・ランキングはアマゾンが上位を占め、著者は億万長者になるだろう。つまり、これはアマゾン出版を選んでくれた著者に対する“ボーナス”ともなるだろう。出版社であるアマゾンの金銭的負担は、著者への印税だけだ。
morningstar
ラリー・カーシュバウムがアマゾン出版のニューヨーク・オフィスを去ることに快哉を叫んだエスタブリッシュメントの面々は、ベストセラーと不可分であったB&Nのようなリアル書店が、迂回されることで意味を失ったマジノ線のように、徐々に無力化されていくことに蒼白になるだろう。インターネットの時代に陣地は頼りにならないのだ。(鎌田、11/02/2013)

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