翻訳サービスGPIがE-Book出版に進出

Globalization Partners International米国ワシントンDCを本拠とする総合的な翻訳サービス企業、Globalization Partners International  (GPI)は11月19日、E-Bookの翻訳・制作(DTP)サービスを開始したと発表した。出版社の依頼に応じて、コンテンツの翻訳とDTPおよびE-Bookフォーマッティング業務を行う。ビジネス系だけでなく、書籍においても翻訳サービスは編集・制作と融合しつつある。

デジタルは翻訳出版の可能性を広げる

GPIはドキュメントやソフトウェア、Webサイトなど、ビジネス系情報の翻訳・制作サービスを本業としてきたが、おそらく出力デバイス(とくにタブレット)とフォーマット(PDFからEPUBへ)が多様化したことで、逆にE-Bookへの参入を決めたと思われる。翻訳の品質にはピンからキリまであるが、GPIはフォーマットと同様、出版用翻訳の品質にも責任を負うとしている。GPIは複数のデバイス・フォーマットのサポートを謳っており、EPUB(iBooks、Nook、Sony、Kobo)およびMobiとKF-8に対応する。

translation-servicesビジネス・ドキュメントや科学技術文献についてはすでに経験があるので、品質管理上の問題は少ないと思われる。フィクションまでカバーできるかどうかは別問題で、少なくとも日本語に関しては同様の体制で対応できるとは考えられない。しかし、プロの翻訳家と編集者が加われば、それは地元の出版社が出すものと変わらなくなる。その場合には翻訳料や業務委託費というよりは、売上のシェアのようなスキームが必要かもしれない。いずれにせよ、グローバル出版モデルでは、翻訳家やフリーの編集者は、地元の出版社ではなく、総合的な翻訳エージェンシーを通じて仕事をすることになるだろう。

紙の時代の出版は、ローカルな流通チャネルにアカウントを持つ出版社が主体となって行われた。翻訳出版の場合も、著作権者/出版社間の版権取引が前提であり、原著作権者が直接海外の市場で出版することなどはほとんど考えられなかった。しかし、デジタルではそうした前提は崩れる。翻訳とフォーマットさえできれば、地球上のどこからでも多国語出版は可能である。日本のように大きな翻訳出版市場を持つ国はそうないので、潜在市場は相当に大きいと推定されている。アマゾンの Crossingはこの潜在市場を狙ったものだ。翻訳サービス会社がアプローチしたのは当然と言えよう。

翻訳出版市場が拡大するにつれて、翻訳サービスは大型化する可能性が強い。それに対して版権エージェントの市場は縮小するだろう。(鎌田、11/21/2013)

Scroll Up