デジタルが支えるアシェットの3Q決算

HLivreアシェット・ブック・グループ(HBG)は11月12日、米国の第3四半期の決算を発表したが、成年向け一般書のデジタル比率は昨年の20%から27%に上昇し、11%の売上増に寄与した。また英国事業では同じく前年同期の20%から一気に30%に達した。親会社のラガルデール出版のグローバルな事業では、E-Bookは9.4%に止まっている。

12d6a753e78b98f16fb347dc4b1345faHBGは今年、191点の印刷本と73点のE-Bookを NY Timesベストセラーにランクインさせ、うち45点が第1位を獲得するなど、過去最高のヒットを記録した。3Qにはロバート・ガルブレイス(J.K.ローリング)の新作 'Coockoo's Calling' などが好調だった。アシェット・リーヴル全体の売上は5億8,000万ユーロで4.1%減となったが、これはオーストラリアとニュージーランドの不振により英国の売上が3.9%減ったことによるもの。1-3Qの出版部門の売上は、2%増の14億9,700万ユーロとなったが、フランス(+13%)と米国(+9%)の文芸書の好調が教育書の不振をカバーした。(左はアシェットの近刊。ブラッド・ストーン著『ジェフ・ベゾスとアマゾンの時代』のカバー)

E-Bookは、これまでのところフィクションと最も相性がよく、それはベストセラーであってもなくてもそうだ。また新刊ベストセラーにネガティブな影響を与えていないことも確認されている。デジタルは、フォーマットの選択肢を増やし、価格を多様にし、さらに購入を容易にしたことで単純に消費を増やした。カニバリは幻想であり、いまだにデジタル版を差別している日本の出版社は莫大な機会損失を生んできたということになる。その上、E-Bookは印刷本の在庫を適正化できるので、出版プロジェクトによって赤字を出す可能性を減らすことができる。アシェットなどが減収・増益となるのもそのためだ。これまた小さな額ではない。上場企業なら株主訴訟が提起されてもいいくらいだ。

価格は価値を表すという素朴な価格信仰と、知識市場はゼロサムでデジタルは紙を食うとするカニバリ説は、印刷本を前提に考え出された(デジタルを封じる)迷信であり、出版ビジネスの発展を阻んでいる。(鎌田、11/14/2013)

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