米国市場デジタル化第2弾への底流

digitrends米国出版業界のシンクタンク BISGのE-Book消費者動向レポート(Vol. Ⅳ-2)については先々週にご紹介したが(本誌、11/05)、市場シェアについてのデータが明らかにされたので (DBW, 11/14)、あらためて取り上げてみたい。ひとつはストアのシェア、いまひとつは、出版分野別の消費者の選好(紙とデジタルのどっちがよいか)。後者では実際の市場データ(デジタルはまだ3割)とかなりのズレを示しているのが気になる。

実際のシェアは分からず

消費者に「主にどこから買っているか」を聞く方法で、もちろん正確なシェアは分からない。購入する点数が問題になるからだ。しかし、少なくとも「消費者に強いストアはどこか」を示すものではある。それによれば、アマゾンが67.0%でB&N Nookが11.8%、アップルiBooksは8.2%で合計87%。3社の合計は従来95%とも言われていたが、本調査では、ソニー、Kobo、Googleを含む「その他」の合計は12.8%となっている。その他が5%と二桁では大違いだ。

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2010年時点で市場の93%を占めたとされたアマゾンのシェアは、NookとiBooksの登場で下落したのだが、それがどの程度であったかについては、実数がないので推測の域を出ない。B&Nは27%、アップルは20%、アマゾンは70-80%と主張。足し合わせると120%前後となる。もちろん誰かが誇張か勘違いをしていることになる。2010年からの3年間で市場がさらに拡大したなかで、Nookは昨年に落ち込んでいるのでNookのシェアは少なくとも20%を切っていることは確実だろう。

消費者の期待上のデジタル比率はかなり高い

さて、レポートでは14の分野別デジタル比率も出している。紙が強い分野とデジタルが強い分野が明確に出ているのが興味深い。紙が強いのは料理本、グラフィック・ノベル、旅行書、実用書の4分野だが、いずれも図版や固定レイアウトを必要とする分野であることに注意が必要だ。固定レイアウトの標準は(PDFを別とすれば)最近出たEPUB3の拡張版しかないので、これが普及してくればここでもデジタル化は進むことは間違いない。するともはや分野別というよりは、紙で置いておきたいものと消費したい、あるいは拡張E-Bookとして使いたいものの違いという価値観の問題になる。

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それにしても、印刷本への選好が全体に低いことにショックを受ける方もいるだろう。最も低いのは、いわゆるジャンルフィクションで、フィクションでは最も高い文芸ものでも20%に満たない。印象としては、フィクションの3分の2がデジタルになる日は近いと思われる。英語圏ではコンテンツとフォーマットが分離し、いずれも選択可能で市場価格で提供されたことで、市場の自然なニーズを反映した結果となった。出版市場の維持・拡大を望むのであれば、デジタルを活用するしかない。世界市場でデジタルをフルに活用できるのがアマゾンだけだとすると、非英語圏のコンテンツは英語のローカライズが中心、ストアはアマゾンが圧倒的ということになる可能性は高い。アマゾンを非難すべきいわれがないことは言うまでもない。(鎌田、11/19/2013)

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