技術書大手ワイリー社でカニバリが進行中

Wiley_logo技術・学術系大手出版社のワイリー (John Wiley & Son's)が第2四半期の決算を発表し、E-Bookの売上が40%も上昇したことが明らかになった。しかし、その分紙の売上が減っている。これはフィクションとは違うパターンであり、遅れていた非フィクション系でのデジタル化が、さらにドラスティックな形で進行する可能性を示唆していると考えられる。

デジタルが増えた分、紙の売上が減った!

change総売上は前年比8%増の4億4,920万ドル。専門書は停滞したが学生向けが成長を支えた。しかし大きな変化はE-Bookの躍進であり、2,240万ドルから3,140万ドルに一気に900万ドル伸びた。さらに、オンライン・ラーニングの WileyPlus の300万ドルを加えれば、売上は3,500万ドルと考えることができる。そして、同社にとっては嬉しくないことに、紙の本がその分減っている。

これまで技術書、実用書を含めて、ノン・フィクション系はデジタル化が遅れていた。E-Bookの価格も(ユーザーから見れば)高値安定し、ベストセラーや自主出版本が牽引してデジタル比率を高めたフィクション系とは別世界だったといっていいだろう。わずかに、やや鮮度の落ちたIT技術書の安売りが目立ったくらいだ。しかし、ワイリー社の2Q決算の数字が今後のトレンドを示すものだとすると話は違ってくる。つまり、技術書・実用書のデジタル化が始まり、それはフィクション系と違って紙との共存にはならず、デジタルへの一方的移行になる可能性が強いということだ。

WPlus技術書の中でも学生や初級向けは「eラーニング」との結びつきが強く、WileyPlusの伸びがそれを示している。eラーニングが普及すれば紙の書籍は急速に減少する。そして出版社は市場をグローバルに考えるようになる。デジタル化はサービス化、グローバル化につながる。価格が硬直化してきた専門書にも影響が及んでくる可能性が強い。2014年は、重い技術書が動き出すだろう。

米国のE-Book市場は伸びが止まったと出版界は判断し、本誌はそれが一時的調整に過ぎず、2014年以降はノンフィクションや実用書、専門書・技術書でのデジタル化(≒移行)が進むと主張しているが、来年の展開がますます面白くなってきた。(鎌田、12/12/2013)

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