ビジネスモデル転換が進む米国のB2B出版

B2B2一般消費者を対象とする書籍や雑誌など以外に、出版には企業(プロフェッショナル)向けのB2B分野がある。日本ではビジネス系、技術系出版社がカバーする世界だが、米国では独立した市場と見做されており、ABMという団体から調査レポートも出ている。ここでは2013年前半の市場レポートをもとに、B2C出版とも関連が深いと思われる、この分野の動向を簡単に紹介しておきたい。

印刷広告が減少する中でも成長を続ける

米国の企業向け(B2B)情報サービス提供企業を会員とするAmerican Business Media (ABM)は12月5日、Business Information Network (BIN) Reportを発表し、2013年前半の市場規模を推定した。ここでカバーしているのは、トレードショウ、印刷広告、オンライン広告、ビジネス情報商品とデータベースだ。レポートによると、今年前半のB2Bメディアと情報サービス企業の売上は、前年同期比4.4%増の131億800万ドルとなった。おそらく日本で同様の数字がとれたら、かなりひどいものになったと思われる。

13-12-05-2013_1H_BIN_table最も大きな成長を見せたのは、データサービスとモバイル広告で、今後の焦点となっていくことが予想されている。デジタル広告は24.8%増で、とくにモバイル広告は145%と急増を記録した。Interactive Advertising Bureau (IAB)によれば、2Qに149%増となり、その後も増加を続けているという。検索エンジン(本集計に含まれず)の売上が停滞していることを勘案すると、出稿企業がモバイルに力を入れ始めていると考えられよう。

13-12-05-2013_1H_BIN_pieデータサービス(ビジネス情報、オンライン・ディレクトリ、データベース)は前年同期比7.1%増となった。マグロウヒル (Financial's Commodities & Commercial Markets)は7%増。昨年も記録的成長を発表したハースト (Business Media)は、信用レポート、医療記録分野の新サービスを立ち上げた。ビジネスイベント(調査:Center for Exhibition Industry Research)は連続成長記録を伸ばし、2.7%増と堅調な数字。他方で、なお大きな規模を持つ印刷広告は4.3%の減少となった(調査:Inquiry Management Systems)。

B2B出版の世界でもデジタル化に伴うビジネスモデルの変化が著しい。世界的な企業UBM (英国)の技術者向け出版部門、UBM Techでは、かつて総収入の85%を占めた印刷広告が、わずか6年間で10%以下となったという。技術系ほど印刷広告の減少は急速だ。昨年のABM総会の基調講演で、タイム社の前CEO、ジャック・グリフィン氏はB2Bメディアがフォーカスすべきテーマとして、1) データと利用者、2) コンテンツとブランド、3) イベント集客力とコミュニティ、4) ソーシャルとモバイルの4つを挙げていた。グリフィン氏によれば、情報過多になるほどブランドの価値は増すとして、“二重ブランド”で復活したBloomberg Businessweekの例を挙げた (BtoB Media Business, 4/30/2012) 。基本的に、これは一般消費者向けの雑誌出版についても当て嵌まると思われる。 (鎌田、12/23/2013)

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