デジタル出版のためのディレクトリ GDP-SD(2):目的

directoryディレクトリがどのようなものでなければならないかを決めるには、何に、何のために必要なのかを考える必要がある。それは具体的な適用範囲と機能、特徴を持った、利用可能なサービスを見つけるために作成され、それによって変化を続けるサービスの現在をマッピングすることになろう。デジタル出版に関わる企業とプロフェッショナルを中心に、幅広く利用されるものとしたい。

2. 何に使うか:変化をフォローする

rolodex2例外的な仕事を別とすれば、ディレクトリは日常的に使うものではない。ある程度きまった仕事に、使い慣れた道具で、気心の知れたメンバーとともに取り組むのが出版の特徴で、そうした安定した世界では、ディレクトリは(現場には)不要と思われておかしくない。しかし、デジタル出版ではそうはいかない。以下のような事情があるからだ。

第1に、デジタル出版は多数の「サービス」を、かなりアドホックに必要とする。アマゾンはそうしたサービスを自社で構築し、連携させ、最適化することで競争上の優位を築いてきたが、それらはつねに部品として機能するように、共通のプラットフォームの上に計画的につくられている。同じことは、アマゾン1社に依存しなくても、あるいはその真似をしなくても、サードパーティのサービスを組合せることで実現できる。ビジネスやプロジェクトに必要なだけを組合せ、最適運用すれば、十分に競争力を持つものとなるだろう。

第2に、ビジネス/テクノロジー/マーケットは、少なくとも10年ほどは、たびたび姿を変えると考えたほうがよい。そもそも安定はしないのかも知れない。ディレクトリはマクロ的に出版の姿をマッピングするための定点観測となる。アマゾンをひとつの頂点とし、新旧さまざまな企業(あるいは個人)が、それぞれの優位を生かして「デジタル出版」にアプローチする。それを持続可能なものとするためにビジネスモデルを構築するが、それを機能させるために多様なサービスへのニーズが生まれては変化する。デジタルの世界では、万物が流転する速度はかなり速い。

P&S第3に、ボトルネックが生じない(回避手段がいくらでもできる)デジタル出版において、競争とイノベーションは終わることがない。サービスの提供主体と形態、組合せ価格も変わる。人が行う作業、あるいは人が積み上げた知識・技能は、しだいにソフトウェアに置き換えられ、それはまずプロダクトとして、次にオンライン・サービスとして提供されるが、その先は無料ツールとなるしかなく、そのサイクルは短縮化される傾向にある。つらい話だが、変化するツールやサービスを使いこなせるヒトの価値がそれだけ高まるのだと考えるしかない。ともかく、変化するものはフォローするしかない。

デジタル出版は、ビジネスとITが渾然一体となった現代のビジネスの縮図のようなものだ。それはプロダクトとサービスの統合・融合ということでもある。サービスを(交換可能な)部品としてビジネスモデルを構築する、アーキテクチャ・アプローチ(ITの世界で言うSOA)は、どんな業種・業態であっても避けて通れないものだろう。(鎌田、12/02/2012)

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