米国の歳末商戦もクリスマスで山を越し、結果が報告されつつあるが、中心的存在であるアマゾンが12月26日に「記録的」戦果を発表した。第3週だけでPrimeの新規会員登録が全世界で100万人を突破。サイバー・マンデーの受注は3,680万点で、1秒当たり426点。「数百万」のKindleデバイスが開梱され稼働を始めた由。PrimeとKindleというツートップは、今年も記録を塗り替えそうだ。
PrimeとKindleのツートップが記録的売上をもたらす
Kindle Fireが3年目にしてiPadと並ぶ「メディアタブレット」としての足場を固めつつある。アマゾンのリリースもこれを強調している。デジタルコンテンツのタイトル数は、映画、TV番組、楽曲、雑誌、書籍、オーディオブック、アプリとゲームを合わせて2,700万点。アマゾン・オリジナルあるいは独占作品を中心に Prime Instant Video の回転を加速しようとしている。アマゾンAppstore のタイトル数は昨年の2倍の10万点。こちらはあまり増えていないとも言える。
会員向けのKindleのLending Libraryのタイトル数も、前年の25万点から47.5万点に増加。うち20万点はKindle独占タイトル。ほとんどが自主出版コンテンツと見られる。Kindleの自主出版タイトルを読むなら Prime会員になるのが得。アマゾンの購読サービスは、単独ではなくバンドルで提供されている。このプログラムの支援も受けているKDPの著者は、2013年中に150人が10万部以上を販売するという成果を挙げた。小売価格が4ドル台としても、10万部売れれば30万ドルが著者の収入になる。しかしこれだけ売れるのはやはり一定の実績のあるプロだろう。
米国の小売業は、11~12月の歳末商戦で年間売上の30%、利益の40%を稼ぐと言われている。昨年より実質6日少なく、大雪にも見舞われた今年のハイシーズンの販売総額は、前年比3.5%のプラス (MasterCard) と発表されており、2008年以来の活況を呈した。とはいえ、これは低迷する個人所得を見越して小売各社が大規模なディスカントを展開したためと言われ、利益を犠牲にしたものとみられる。comScore の調査によると、オンライン販売は前年比10%あまりの増加だが事前予想は下回った。アマゾンの数字は四半期決算まで待たなければならないが、少なくとも業界平均を10ポイントは超える20%台を確保したとみられる。
PrimeとKindleの両輪が機能してこそ、消費が低迷するなかで対前年比20%台のプラスを重ねていけるわけで、他社との差はさらに拡大していくだろう。◆(12/31/2013)