2014年10大予想(10): 図書館の電子貸出(♥)

ALA_AAPデジタル読書の普及とともに、米国で図書館の電子貸出が争点化するのは当然の成り行きだったが、昨年の雪解けに続いて、今年は春の訪れがあるとDBWは予測している。図書館の利用実態、市場における積極的役割への認識が大手出版社にも浸透し、「ベストセラーの売上を減らす(はず)」という図書館への積年の偏見が薄れてきたためだ。[全文=会員]

10. 大手出版社は図書館によるE-Book購入を全面解禁する

世界の5大出版グループは、2012年までは図書館の要望に耳を貸さず、図書館への販売を拒否したり(サイモン&シュスターおよびペンギン)、貸出や価格で高いハードルを設けたり(ハーパーコリンズ、ランダムハウス)、対象を絞る(マクミラン)などで図書館の利用を規制してきた。全米図書館協会(ALA)のリーダーシップによる、粘り強く、また精力的な説得活動が実って、昨年は出版社側からの歩み寄りがみられ、販売実験までを含む協力関係へのアプローチも行われた。ALAの情報技術政策室のアラン・イノウエ室長は「2013年に弾みがつき、大手出版社は新刊を図書館で貸出しても販売を損なわないことを知りました」と語っている。

White flagもっとも、“ベストセラー新刊”の書店販売への影響を病的に恐れる「大手」出版社を除く、普通の出版社には図書館を忌避する理由はなく、貸出は行われてきた。大手出版社の態度変化は、Kindleの「新刊$9.99ショック」の際にも見られた、市場の錯覚による拒絶反応が薄れ、消えつつあることを示すものだろう。大手出版社の恐れは、彼らが伝統的に書店(仕入担当者)相手のB2Bビジネスしかしてこなかったことによる。現実の読者=消費者を知らなかったことが原因だが、それは(恥ずかしいので)認めたくなかったのだろう。日本でも同じ問題を共有している。

過去5年間の市場における「実験」で判明したことは、でE-Bookが$9.99で売られても、図書館で貸出されても、コンテンツに価値があり、読者層の拡大を意味する限り、販売にマイナスになることはないということだ。読者が拡散する情報によって、売れるべきものは様々な販売機会を利用して売上を拡大する。その販促効果は、金銭換算すると数万ドル、数十万ドルにも匹敵する。図書館で借りた本を紙やデジタルで購入する人が少なくないのも当然の話で、E-Bookがメガヒットを数多く生んだのはそのためだ。

図書館の「マーケティング機能」が証明された以上、おそらく米国での次の展開は、“市場化”が積極的に試みられるようになるだろう。たとえば地元書店との連携も含まれる。“無書店地域”の拡大は、日本でも大きな問題になりつつあり、公共図書館が出版エコシステムにおいて果たすべき役割は大きくなっている。そ大手出版社の説得で発揮されたALA関係者の知恵は、新しいビジョンとアイデアを提示していくと思われる。(鎌田、01/30/2014)

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