2014年10大予想 (6):購読制の採用拡大

game changerE-Bookはこれまで、売りやすい市場に売りやすいタイトルを販売することで、アマゾンのインフラを使って短期間にシェアを確保した。第2ラウンドは、低デジタル化分野の開拓と提供形態の多様化が中心だろう。そして後者をリードすると考えられているのが、購読モデルだ。これが成立すると、市場を一気に拡大するだけでなく、初めてアマゾンのKindleエコシステムの外に成立するビジネスモデルとなる。その意味は大きい。

6. 購読制サービスの採用が出版社の間に拡がる。

潜在的にはKindleエコシステムへのオルターナティブに

「E-BookのNetflix」は、昨年にも「今年こそ」と言われだが、一般向けでは Oyster やeReatah (現Entitle)、Scribd、それにプロフェッショナル向けの Safariが一定の足場を築いた。Harper Collinsが参加し、マスマーケットを対象とする場合に不可欠となるベストセラー本も出始めたということは、出版社、著作者に満足できる契約条件(いまのところ10%以上読んだ場合にダウンロードとカウントし、販売と同額を支払う)が固まりつつあることを意味している。Oysterは新たにベンチャー資金1,400万ドルを調達。期待の大きさを裏づけた。

subscribe購読モデルは長いこと待望されていながら、販売者と著者、出版社、エージェントなどの当事者との間の利害調整と契約モデルの複雑さ、継続性への疑問など不確定要素の多さが障害となってブレイクしなかった。アマゾンはプライム会員のサービス・メニューの一つとして、アマゾン出版やKDPの一部タイトルを中心とした「貸出」行っているが、商業出版社は参加していない。月々10ドルの購読料によって年間120ドルあまりが安定的に入ってくれば、会員100万人で1.2億ドル。1,000万人に達すれば…と願望は膨らむが、利益率は仕入価格とともに、会員の実読率に依存する。つまり速読・濫読・多読の猛者が多くなれば赤字になることもあるので、甘くはないかもしれない。

購読制サービスでは、会員の振舞い(ブラウズ、試読、購読、読み方)のデータが蓄積される。統計情報としても、マーケティングに貴重な情報となるが、サービス会社はこれを販売することができると考えられるし、広告にも使えるだろう。ビジネスモデルの伸びしろがあるところも、これが注目される理由のひとつだ。

米国では、ほとんど本を読まない層が人口の半数近くいる一方で、年間20冊以上を読む人が2割あまりいる(教科書など義務的なものは含まず)。マーケティング的に言えば、非識字者ではないが書店からは遠ざかっている前者に少しでも読ませるようにすれば市場は拡大する。日本ではあくまで書店に連れてこようとキャンペーンを繰り返すのだが、これは手段の絶対化で成功しない。米国では、昔からある会員制ブッククラブのモデルを、売っても減ることがないE-Bookに適用する方法が試みられてきた。これがブレイクすれば、動画の提供モデルとして定着してきたNetflixのE-Book版というにとどまらず、アマゾンへのオルターナティブになる。右の図は、2000年代に入ってITの世界で普及してきた「

先週号で紹介したShebooksのように、出版社でも定額購読を採用する場合も増えると思われる。垂直型のマーケティング・モデルには最も有効と言える。つまり、ストアにとってはタイトルを増やすことで会員ベースを増やすことが目的だが、出版社にとっては、ブランドへのエンゲージメントを高める手段になるということだ。これは日本の出版社にもぜひやってもらいたいと思う。(鎌田、01/15/2014)

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