2014年10大予想 (7):メディア化する出版(♥)

The-Hot-Bed7番目の予想は、出版社による直販と、手段としてのサイトと雑誌の活用ということだ。アマゾン出版が最近始めたが、有力出版社も力を入れ始めている。サイモン&シュスターはロマンス専門のプラットフォーム Hot Bed を立上げ、健康分野の Demos Health も新しいポータルサイトを構築した。読者の関心を集める情報を継続的に発信し、コンテンツの販売あるいは広告機会に結びつけるのだ。[全文=会員]

7. サイトと雑誌から読者でE-Bookを直販する出版社が増える。

「垂直統合」戦略強化で中途半端なオンラインストアは不要に

hotbed出版コンサルタントのマイク・シャツキン氏によれば、「出版社は、自分たちが雑誌を発行し、Webサイトを運営していくだけのコンテンツやリソースを持っていることに気づき始めた」と述べている。Webが登場して15年経ってこんなことに今ごろ気づくことに呆れるが、雑誌と書籍の両方を出版し、ハイレベルなPR誌まで出してきた日本の出版社でさえ、連携させることを考えつけないのだから無理もないのかも知れない。

出版社による直販サイトと情報発信の強化は、マルチ・プラットフォームのリーディング・アプリまで含まれる。出版社には不可能と思われてきたことが、中堅以上の出版社では常識になるかも知れない。環境が標準化され、カスタマイズも容易になったことで、出版社が利用しやすくなったためだ。その技術提供しているITサービス企業に Bluefire などがある。こうした影のキー・プレイヤーの存在は、しだいに表舞台でも注目されるようになるだろう。

Bluefire_readerでは直販はアマゾンなどのストアにどんな影響を与えるだろうか。出版社は情報発信と読者サービスを強化し、メガストアからの独立性を傾向的に強めていくが、もちろん多くの読者が特定の版元へのエンゲージメントを強めるようなことは考えにくいので、基本的には共存する。しかし、マーケティングの質的量的拡大を継続できないストア、例えばNookやKoboはこうした競争でシェアを落とす可能性が強い。他方で出版社は「アマゾン・ランキング」は気にしているので、アマゾンだけは別格に扱われる現状は変わらない。

筆者はE-Book 2.0 Forumに連載中の記事で、印刷広告主体の雑誌(ニュースメディア)のビジネスモデルが崩壊し、ターゲットとなる市場にフォーカスして複数のメディア(Web+E-Mag+E-Book+イベント)を複合する形態へ移行することを説いているのだが、これは雑誌に限った話ではなく、どんな情報ビジネスも<複合>モデルでないかぎり、安定したマーケティング・プラットフォームを築けない。日本でも旧い出版社はPR誌をかなり力を入れて作っており、これをE-Mag化して、Webサイトとともにマーケティング・メディアとして機能させていくことが可能である。(鎌田、01/16/2014)

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