米国のデジタル読書調査は感心するほど頻繁で、きめ細かい。シンクタンクのピュー・リサーチ (PRC)が正月明けに行った調査は、E-Bookの読者がさらに拡大する一方、大部分は印刷本もやめてはいないという、出版社が喜ぶ傾向を伝えている。デジタルに期待されることは、読書率、タイトル数を年々高めていくことだが、今回の数字を見ると、その可能性は十分にあると思われる(要約と全文)。
成人(18+)の76%は過去12ヵ月間に読書したと回答したが、これは前年をわずかに上回る。「典型的なアメリカの大人」は過去1年間に5冊の本を読み(聴き)、全体の平均は12冊。タブレットの普及は昨年9月の34%からさらに上がって42%。しかしE-Readerも同じく8%ポイントの上昇を見せ、24%から32%となる。どちらかを保有している人は50%と4ヵ月前の43%から上昇し、ついに半数に達した。E-Readerが3分の1近くになったことは、タブレットが読書にあまり使われていないか、少なくともユーザーの間で「使い分け」する傾向が一般的であることを示している。
印刷、デジタル、音声の3フォーマットでの「読書」が普及しているが、過去1年間に紙の本を読んだことがある成人は69%、E-Bookは28%、オーディオブックが14%。そしてE-Bookのみという人は4%で、E-Bookユーザーの87%が印刷本も読み、29%はオーディオブックも聴くのに対し、紙の本のユーザーの52%は紙だけで、E-Bookも読むのは35%、オーディオブックを聴くのは17%。可読デバイスの普及をデジタル読書の普及が追うという展開か。
タブレットとE-Readerの普及率の差が広がったが、これは前者がより重要になったことを意味しない。E-Readerの普及とデジタル読書の普及がほぼ同じ水準を保っているのに対して、タブレットと読書の結びつきは弱い。静的コンテンツに関してはE-Readerが引続き重要な役割を果たすと考えるのが妥当だ。◆(鎌田、01/23/2014)