非英語圏のE-Book市場が2013年に急成長を始めたようだ。100%あまりの成長を記録したドイツに続いて、オランダ、ロシア、ブラジルでも上昇が伝えられている。注目されるのは、ドイツ書店連合の Tolinoプラットフォームが1年を経ずにアマゾンに次ぐシェア(30%台後半)を得たことだ。もしこれが定着すれば、アマゾンが50%を取れない市場として理由が分析の対象になるだろう。
ドイツ書店連合がアマゾンを急追
市場調査会社のGfKが発表したデータによれば、ドイツでは2013年にE-Bookが市場の5%を占めた。前年が2.4%だったのでほぼ倍増である。E-Bookは印刷本の20%引で提供されており、出版社からの直接購入も増えているようだ。アマゾンのシェアは必ずしも圧倒的ではない。GfKでは43%(3Q)と推定している。大手書店連合がドイツ・テレコムとの提携で昨年立ち上げたTolinoは35%以上と推定されており、一挙にアマゾンに次ぐシェアを獲得した。市場規模がまだ小さいとはいえ、短期間でアマゾンに迫るような例は初めてと言える。Tolino Shine は50万台を販売した。
オランダの書籍流通大手のCentraal Boekhuisが発表した数字によると、2013年のE-Book販売は、数量にして195万点を記録。前年の120万点から62%あまりの増加を見せた。売上の3.2%を占めるという。デジタルで入手可能なタイトルは、1万9.230点から2万8,319点に47%の増加。CBのタイトルの80%はウォーターマーク(電子透かし)を使ったDRMで提供されている。
2012年に市場の1%しかなかったブラジルでも、有力出版社の関係者は2-3%に上昇したと考えている。その一つ、Editora Objectiva社では、販売点数は12年の1.5万点から9.5万点に急増。売上の2%となった。ダン・ブラウンのベストセラー『インフェルノ』は5%がデジタルという。ブラジルで文化的な需要が爆発する日は遠くない。
ロシア最大手のオンラインストア LitRes によれば、2013年の市場規模が5億ルーブル(1,490万ドル)と見積もられている。同社は前年の2倍規模と推定している。以前にも紹介したように、この国ではデジタル読書が無償版や海賊版を通じてかなり幅広く普及している。出版社はそれを恐れるあまりデジタル版を出そうとしないという悪循環は終わっていない。実際には、正規版を出すことで海賊の捕捉も容易になり、けっして貧しいわけでも、本を買う習慣がないわけでもない人々が市場を拡大するであろうことは間違いない。◆(鎌田、01/16/2014)