SNS上で「どこでも書店」を実現するAerbook

aerbook_logo著者/出版社にソーシャルメディアを利用した販促機能を提供する Aerbook(エアーブック=サンフランシスコ)が、新たに購入機能をサポートし、利用拡大を図っている。Twitter、Facebook、Pinterest、Google+などを使い、新刊情報、試読、共有、購入が可能。SNSを広告・広報手段から、「その場で」コマース・ツールに進化させるこの機能は、デジタルだけでなく、印刷本を含むあらゆる商品にも適用できる。

ソーシャルからコマースへ

browser-iphone@2xユーザーを様々なURLに誘導することなく、ソーシャルメディアのタイムライン、記事、ボードを、試読や、共有、購入を含む「読書体験」への導入として使うという発想は、かなり自然なもので、さらに可能性を感じさせる。TwitterやFacebookのユーザーが、それぞれのタイムラインでAerbookのリンクをクリックすると、Aerbook Cloud Readerが立上り、コンテンツの一部(または全部)を読み、抜粋を共有、ダウンロード、購入することもできる。リーダはPCやモバイルデバイスで利用可能で、出版者は印刷あるいはデジタル・フォーマットの書籍を販売できる。またこのサービスを使って定期的に本をプッシュすることもできる。

出版者はEPUBまたはPDFのファイルに、キーワードとメタデータを付けてAerbookにアップロードすることで利用可能となる。マーケティングのみの利用と直販機能の利用で料金は異なる。プランとしては以下の3種類。

  • Aerbook Retail:無料。商品ページ、サンプル、シェアボタン、購入ボタン、販売額の15%の手数料。
  • Aerbook Plus:年額29ドル。上記のほか、別のリテイラーへのリンクを含む。
  • Aerbook Flyer:年額59ドル。マーケティング機能のみ。

これらを利用する出版者には、アクセス数や試読時間、ダウンロードなどの利用データ、メトリクスが見られるダッシュボードが提供される。大規模出版者向けにはボリューム・ディスカウントも用意されているという。

周辺サービスと機能統合しネットワーク化

また、コンテンツ・フォーマット機能を必要とするユーザーのために、Aerbook Makerというオーサリング・ツールも用意されている。固定フォーマットおよび動が・音声など動的メディアにも対応する。これはアプリ的な拡張型E-Bookをサポートするもので、利用料金はページ単位で課金される。しかし、Publishers Weeklyの記事(3/14)によると、Aerbook創業者のロン・マルティネス氏は、ビジネスの重点はあくまでコマース機能であることを強調してる。

aerbook_social現在のところ、Aerbookが扱うタイトルは(日本の提携先であるボイジャーを含む)4,500点だが、近く美術館などを含む出版社が新たに加わり、ビッグ・ファイブの大手、大学出版局、中堅出版社も顧客となるとしている。また、リアルタイムの販売情報を提供するコンテンツ流通の InScribe Digitalとも提携している。同社の創業は5年前だが、書籍流通大手のイングラム社が出資者に含まれており、Ingram CoreSourceの2万8,000の出版社の利用を期待している。イングラムは Ingram Consumer Direct Fulfillment という、一般消費者向けのPoDサービスを提供しているので、間もなくAerbook Retailを通じて印刷版の販売も可能になる。

Aerbookが提供するのは一つの機能だが、それは出版社の活動(製作→マーケティング→販売)と読者の読書体験(情報への接触、試読、共有、デジタルおよび印刷版の購入)の全体に広がるように、また、特定のSNSではなく、サービスを横断するようにデザインされている。このモーダレスな発想は、Aerbookがプラットフォーム化する可能性を開いている。(鎌田、03/20/2014)

参考記事

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