ニュース・アグリゲータのFlipboardは3月5日、ライバルであるCNN傘下の Ziteを買収したことを明らかにした(同社ブログ)。取得金額は推定6,000万ドル。これはコンテンツ流通と広告事業に関する同社とCNNの提携の一部として合意されたもので、モバイル・コンテンツ共有を広告と強力に結びつけることが期待されている。ニュース・アグリゲーションのビジネスモデル構築における新段階を意味する。
ニュース・アグリゲータ―の競争激化、新段階へ
Ziteは2010年にiPadアプリとして登場。翌11年にCNNが2,000万ドルで買収した。6,000万ドルという買収金額は、CNN Moneyが最初に報じたものだが、のちに「最大で」その金額、と訂正された。つまり現金ではなく株式による取引であるらしい。Ziteの共同創立者のマイク・クラース氏を含む14人の従業員はFlipboardに移籍するが、マーク・ジョンソンCEO(元マイクロソフト社上級プロダクト・マネジャー)は勇退し、新分野に転進するという。ともかく、FlipboardとZiteの合併に伴い、CNNは300本以上の記事を提供する一方、FlipboardはCNN向けのカスタム・マガジンを発行する。アンカーはFareed Zakaria、Jake Tapper、John Kingの3名と発表されている。Ziteは独立したプラットフォームとしては継続せず、その技術をFlipboardが導入する。
ニュース・アグリゲーションは、ニュースを集約することでアクセスを集める手段としての有効性は実証されたものの、広告と効果的に結びつけ、収益を上げていくという段階で参入、再編や淘汰が起きている。競争は非常に激化しており、Facebookはリーディング・アプリのPapeを立上げ、Googleも1月にGoogle Newsstandを立ち上げた。Flipboardとしては、こうした巨大企業と対抗しつつ、さらに企業価値を高めることを狙っている。ユーザー数は昨年秋の8,500万人からさらに増えて1億人を超えたと発表されている。しかし、肝心なのはユーザーのプロファイルと使用頻度だろう。資金的には大手のベンチャー・ファンドから潤沢に供給されており、総額は1億6,100万ドルに達する。上場にしても売却にしても相当な金額になりそうだ。◆(鎌田、03/06/2014)