英国のペンギン・ブックスは4月16日、無料ファイル転送サービスのWeTransferと提携し、人気デザイナーによる新作カバーデザインの展示を行うことを明らかにした(→サイト)。本の Discoverability(見つかりやすさ)を高めるためのキャンペーンで、WeTransferのバックグラウンド画面を利用し、月間2,000万人のアクティブ・ユーザーに10点のオリジナル・デザインを訴求する。
ペンギンがカバーデザイン・キャンペーン
E-Bookの時代でもカバー・デザインの重要性は変わらない。そのことは多くの調査で確認されており、出版社に頼らない自主出版作家も、デザインへの支出を優先させているほどだ。表紙など要らないのは、古典として知られているタイトルだけだと思ったほうがいい。本の見つかりやすさ、購入動機は、かなりの程度カバーデザインにかかっている。デザイナーの名前は重要なメタデータでもある。
今回展示された10点は、世界的に著名なストリート・アーチストに依頼して、ロンドンのサウスバンクに制作されたもの。独特のインパクトがあるストリートアートは、ブックデザインに新しい可能性を示している。もちろん、展示された書籍はオンラインで購入できる。
この提携企画は、「印刷とデジタルにおける創造性を一体化させる」活動の一環として行われるもので、公的機関である British Fashion Council も協力している。展示されている書籍は発売中のもので、次回展示は夏になる予定。WeTransferはデザイナーやアーティストに愛用されていることから選ばれたようだ。斬新でセンスの良いペンギンのカバーデザインは、出版界にあっても伝統的に高い評価を得てきた。その強味を発揮してマーケティングに結びつけるには、インターネット環境を利用することで最も高いコスト効果が得られる。◆(鎌田、04/17/2014)
<対象書籍>
- Joshua Ferris, Then We Came to the End (Cover: 45RPM)
- Nick Cave, And the Ass Saw the Angel (Cover: ROA)
- Zoë Heller, The Believers (Cover: Sickboy)
- Iain Sinclair, American Smoke (Cover: Nathan Burton)
- Zadie Smith, Embassy of Cambodia (Cover: gray318)