Fire Phoneは“超スマートフォン”を目ざした

fire5今年はアマゾンの創業20周年にあたるが、同社は6月18日、最も競争の激しい市場に初の製品となる Fire Phone を発表した。同社の製品ライン、Kindle/Fireエコシステムの中でも特異な位置を占めるものだ。4.7型2.2GHzの標準的なハードだが、初の3D機能(表示/撮影)を搭載した。価格はAT&Tの4G LTE 2年契約付で200ドルから。しかしPrime会費(100ドル)を考慮すれば実質100ドル。米国発売は7月25日。

Fireflyは“最終兵器”のボタンか?

仕様等は他で確認していただきたいが、Fire Phoneにおいて確実にイノベーションと呼べそうなのは、3Dカメラを使った 'Dynamic Perspective' と 'Firefly ボタンだ。ユーザーが3Dカメラで捉えた実世界のオブジェクトをFireflyで送信すれば、数秒で自動識別して商品、芸術作品、楽曲、TV番組、映画を教えてくれる。ユーザーが注目したものをアマゾン・サイトでの消費に結びつける、画期的なインタフェースだが、もちろん巨大な計算機資源を背景にしたクラウド・サービスがあって機能するもので、他社が容易に真似できるものではない。これによってスマートフォンはまた新しいメディアとなった。

Bezos-amazon-fire-phoneスマートフォンに3Dディスプレイと3台以上のカメラが搭載されることが知られた時点で、3Dの商品表示やタッチレスの指ジェスチャーを使うUIは容易に推定されたが、'Dynamic Perspective' のようなものまでがこの段階で含まれるとは予想をはるかに超えている。これはスマートフォンの技術ではなく、もっぱら空港などのセキュリティ分野で使われている画像認識・検索技術で、筆者が知る限り、膨大な数のユーザーが使用する運用環境では実用性が実証されていないと思われる。専門家であれば、精度や処理時間、電話機本体や回線、バックエンドへの負荷が気になるところだ。通信パートナーは(KindleやiPhoneの初期に独占契約で成功した)AT&Tだが、かなり以前から試験を繰り返していたはずだ。部品メーカーと違って口が堅い。

信頼性に問題がないとすると、'Dynamic Perspective/Firefly' の応用は相当に広い。それには、すべての実店舗をアマゾンのショールーム化する恐怖のシナリオも含まれる。Fire Phoneを取り出し、Fire (発射)ボタンを押せばアマゾン・サイトのの商品と価格が表示され…ということにも。Firefly(ホタル) ボタンがアマゾン専用の核ミサイル発射ボタンでないことを保証するためか、アマゾンはこれをサードパーティに開放するとしている。Dynamic Perspective SDKを使うことで独自のサービス・アプリが開発できる(→開発者向けサイト)。これがどのようなものかが注目される。いずれにせよ、アマゾンのエコシステムとビジネスをモバイル環境に拡張するもので、スマートフォン向けアプリ/サービスとしてはマップ系を凌ぐ可能性を持っている。(鎌田、06/19/2014)

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