本は次々と出版され、既刊本も消滅しない。出版を川の流れのように考えてきたわれわれにとっては、歴史上初めて直面する事態である。良書がいつでも、いつまでも売れるとすればすばらしいが、新刊本がそれらを相手に存在を主張しなければならないとすれば、恐ろしいことでもある。本のマーケティングというものをゼロから考え直すほかはない。
Webの世界の情報の賞味期限は短い。Twitterのトピックは数時間で減衰するし、消費向きとは言えない本誌の記事も、数日経つとほとんど読まれなくなる。内容的な賞味期限という以上に、後から来る情報があっという間に堆積して見えなくなるからだ。
他方で、上述したように情報そのものは消えない。なんらかのコンテクストさえ与えられれば、読まれることがある。出版に限らず、メディア・マーケッターとしては、デジタル(時代の情報)の両義性(揮発性と残留性)をうまく折り合わせていくことになる。コンテンツが読まれるのは「コンテクスト」によってであるが、それが一定の持続性を持つとすれば、適切なロジックと表現が与えられる場合だろう。デジタル時代に相応しい、安くて簡単なメディアが追求されるゆえんだ。本日ご紹介する2つの記事は、ロジックと表現を載せる最新のツールだ。◆(鎌田、06/10/2014)
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