米国で進む図書館の進化

ala_ID_websafe米国図書館協会(ALA)の最新の調査で、全米のほぼすべての公共図書館で職業訓練プログラム、テクノロジー技能訓練等が提供されており、メーカースペース、プログラミング講習、起業プログラムなどとともに、地域社会の職業(再)訓練の一翼を担っていることが明らかになった(→リリース)。成人教育が図書館の新しい役割として位置づけられていることが背景にある。

ALAの Digital Inclusion Surveyは、図書館のオンライン教育・訓練環境を調査したものだが、主な事実として以下を挙げている。

  • 98%が無料Wi-Fiアクセスを提供
  • 98%がITトレーニング(セキュリティ/プライバシー、ソーシャルメディア等)を提供
  • 95%が労働能力向上トレーニング・プログラムを提供
  • 90%がE-Bookへのアクセスを提供(2012年は76%)
  • 利用可能PC台数は平均して20台(2012年は16%)

ALA surveyこのなかで、ほぼ100%に近いWi-Fiと、90%にも達したE-Book貸出の普及が注目される。これは図書館が21世紀にその役割を果たしていくための条件だと思われる。マクミラン社が7月29日、新刊本E-Bookのすべてを貸出解禁にしたのも、マーケティング的な意味での図書館の重要性を認めたことを意味している(→リリース)。

skills-act米国では昨年超党派で成立したWorkforce Innovation and Opportunity Act(労働力革新・就業機会拡大法)によって、IT化が進む労働現場に対応すべく成人向けの職業訓練・技能向上プログラムが整備されているが、図書館は職業教育サービスの提供の場として位置づけられている。地理的な分布、ブロードバンド環境、デジタルコンテンツへのアクセスなどで最適と判断されたためだが、予算カットに悩んでいた図書館が積極的に対応したためでもある。

日本では行政の壁が高いので、現状ではその可能性は低いが、図書館に地域住民のための教育・情報サービス機能を担わせることは理に適っている。利用者(住民)あっての図書館であり、その利用者は職業的知識と技能の(向上というより)組み替えとビルドアップを必要としている。最も重要なのは啓発と自己学習の機会だが、伝統的な職業訓練は工場労働に最適化されている。コンテンツへのアクセスを無償で提供することを第一義とする図書館を中心に再編成することが合理的である理由だ。(鎌田、07/31/2014)

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