HCがE-Bookバンドル新技術を試行

BitLit_logoビッグ・ファイブの一角、ハーパーコリンズ社は7月21日、印刷本の購入者に BitLit というアプリを使ってE-Book版を割引販売するパイロット・プログラムを開始した(→リリース)。書店のレシートなどの購入履歴は不要。簡単な操作で入手できるバンドリングは、読者とのコンタクトの拡大を意図したもの。最初のリリースは6点で、$1.99-2.99で、毎週1点を追加していく。

テクノロジーが“自炊”問題を解決する

harper-collins-logo1デジタル・バンドリングは、まずアマゾンが顧客サービスとして開始し、CD、DVDから書籍に拡大している(MatchBook)。これはブランド・エンゲージメントを高める有効な手法で、顧客の嗜好を知る意味もある。基本的に読者データを持たなかった出版社にとっても、バンドリングは重要なマーケティング手段だが、これまでは印刷版の購入者を認証し、ブック版を割引販売するまでの簡単なプロセスを描けなかった。BitLit はカナダ(バンクーバー)のスタートアップで、提供する方法はかなり簡単なもの。印刷本のオーナーは、版権表示の傍に名前を記入し、それをスマートフォンで写真に撮って送るだけ(→説明図)。BitLit のコンピュータビジョン技術で解析、認証することで、販売データの照会を無用としている。同アプリは iOSとAndroidで無償提供される。

つまり、ここでは購入者が保有するかどうかではなく、(1)現に所有しているかどうか、(2)HC社の本の現物に署名したかどうか、(3)再利用されていないかどうか、の3点を認証する。出版社としては「バンドル」であるかどうかを確認すればよいので、ユーザーと1対1で済ませることが出来る。HCのシャンタル・レスティヴォ-アレッシ CDO (Chief-Digital Officer)は、「BitLit は、読者がすでに購入した本と別な方法で親しむ機会を提供するもので、これにより好きなフォーマットで読めるようになる。消費者には割引価格で付加的な価値を提供し、著者には追加収入となる」と意味を強調している。HCは、現在約20,000点が利用可能な BitLitのカタログに加わることになるが、スケジュールは同社のPR誌 Bookperk やサイトで発表していく。

印刷本の読者がE-Book版を必要とするのは、その本とより深く長く付き合いたいからで、わざわざ解体したいからではもちろんない。E-Book版が適切な価格で提供されていれば、自炊が生まれる可能性は小さく、自炊代行が商売になる可能性は低かった。しかし、日本の(一部の)出版社と著者たちは、読者の動機(本との深く長い付き合い)を省みず、ただ現象だけをとらえて人に罪を着せ、社会的に断罪しようとした。こんなことに公権力を巻き込んだことで、読者との付き合いはますます浅く短い(つまりアマゾンを通じた)ものとなるだろう。読者とのつながりを求める出版社に、読者は心を開く。(鎌田、07/22/2014)

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