アマゾンが KDP Kids で児童書市場を開拓

KDP_kidsアマゾンは9月3日、自主出版向けの新サービスとして、KDP Kids および Kindle Kids’ Book Creator を立ち上げたと発表した。児童書に特化したブランドとオンライン制作ツールという組合せにより、この市場を開拓していく意思を示しているが、これまで比較的少数の専門出版社で担われてきたニッチに与える影響は少なくないだろう。

年齢/学齢フィルタリングをサポート

Kids_Page_Hero._CB345447331_KDP Kidsは児童書の著者の制作および販売活動を支援するもので、KDPの児童書版という性格を持つ。年齢によって要求水準が異なる市場の特性を考慮して、ターゲット顧客を絞り込めるようになっている。もちろんこれらは著者/出版者を囲い込むためのもので、アマゾンと独占契約をすることでKDP Select、Kindle Unlimited、Lending Libraryなどのエコシステムに誘導する。児童書はカスタマー・ライフサイクル・マーケティング(CLCM)の基点であり、アマゾンがここを重視するのは自然なことだ。

kindle-kids-book-creatorBook Creatorは、図版が多く、固定レイアウトを必須とする出版者のために最適化した制作環境を提供する。ポップアップなどのKindle仕様フォーマットの実装も容易に行える。Creatorで作成したコンテンツは簡単なステップでストアにアップロードできる。カテゴリ、対象年齢、学齢フィルタを使うことで、アマゾンの数百万人の顧客リストからターゲットを絞り込むことが出来る。セグメント化された市場では、リストの質がマーケティングの成否を左右するが、アマゾンは豊富なコンテンツを保有することで、新たにリストを拡充する機会を得る。

考えてみれば、日本の大手出版社もかつては児童書を重視していた。学年誌や少年少女雑誌なども、CLCMのプラットフォームであり、講談社や小学館、学研、旺文社などがその例だ。経緯は知らないが、当時の経営者が、市場を創造/再創造することに使命感と確信を持っていたことは疑いない。個人的な感想を言えば、「団塊人口」の経年劣化とともに、それに依存したプラットフォームは廃れ、さらに市場創造・継承にも消極的になっていったように感じられる。アマゾンがここまで児童書に力を入れることが新奇に思えるとすれば、大いに認識を改めるべきだろう。児童書は出版インフラでありこのビジネスの基本である。アマゾンはこの基本に新しいアプローチを始めたということだ。(鎌田、09/04/2014)

Send to Kindle
Scroll Up