アマゾンは10月23日、9月で終了した第3四半期の決算を発表し、20%増の売上と5.4億ドルの赤字を計上した。赤字が5億ドルを超えたことで「行き過ぎた拡大路線」を嫌気したウォール街では最大の下げ幅を記録し、Fire Phoneが失敗し、メディア売上がペースダウンしたことで“アンチ・アマゾン”の快哉が続いたが、今回の決算で注意すべきことはほかにあると思われる(詳細は会員向けの別稿を参照)。
数字は想定内だが問題は不確定要素がある4Q
売上の20%が必達目標(?)であり、赤字が同社許容範囲内であることを考えれば、それほど騒ぐことではない。すでに7月の発表で、ベゾスCEOは投資が加速することで赤字が拡大することを告知していた。アマゾンはなお大規模な配送拠点投資や企業買収(例えばTwitch=9.7億ドル)を続けており、赤字額を調整しようと思えば簡単だった。株主に判断を制約されることを何よりも嫌ったジョブズと同じく、ベゾスCEOは株価を無視している。この会社の株価に関心がなく、ビジネスにのみ関心を持つ人は、やはり中身に注目すべきだろう。
アマゾンは4Qの見通しを、売上(273億ドル~303億ドル/前年比7%~18%増)、利益(-5.7億ドル~+4.3億ドル)としている。20%という平時の“巡航速度”からするとやや落としているのが気になるところだ。国際経済要因(消費減退、為替変動)をネガティブに見込んでいるか、それともアマゾンの市場拡大能力に陰りが出てきたかのどちらかだろう。3Qでは好調な北米市場(25%増)に対して米国外での減速(13%増)が目立った。赤字は投資回収期間の遅い国外市場によるもの。3Qではインド事業の立ち上げ準備にかなりの額が投資されたはずだ。 ◆(鎌田、19/30/2014)