著者と出版のプロフェッショナルをつなぐオンライン・プラットフォーム Bibliocrunchは12月16日、新しいマーケティング・ツールをサイトとともに立上げた。インディーズ出版の著者向けのサービスは、標準的ツールやサービスの提供からカスタム化されたものまで千差万別だが、最近の傾向は、コミュニティ指向が増える傾向にある。
マッチングとツールをパッケージ化したBibliocrunch
Bibliocrunchの新しいサービスは、無料E-Book、テンプレート、トレーニングコース、そして著者や信頼されるプロフェッショナル・パートナーのディレクトリへのアクセスなどがセットされている。著者は、ファンベースを拡大するためのマーケティング・ツールを利用できる。サービスプランは、(1)アカウント登録(無料)、(2)VIP月間(25ドル/月)、(3)VIP年間(119ドル/年)の3種類。本誌でも紹介したBlurbの場合は、マッチングを主とした無料サービスだが、こちらはマッチングとツールの販売をパッケージ化したものといえるだろう。
米英において、自主出版はすでにビジネスモデルとして確立された。ストアはもちろん、PoDからマーケティングに至るサービスも、ここ数年のうちにほぼ整備された。まだ足りないものがあるのかと思えるほどだ。しかし著者/出版者のニーズは「本の形をしたもの」をストアに並べることではなく、出版を成功させることにある。成功が不可能ではないことは実証されているが、出版者は一般論ではなく、具体的・個別的なものを必要とする。そこでスキルと経験を持ったプロフェッショナルの登場となる。出版はもともとプロフェッショナルな仕事なのだ。成功への秘法を知っているわけではないが、間違いなく品質を高めることができる。
ここで問題は次のようなことだろう。
- 出版に関するスキルは多種多様で、レベルも料金も千差万別である(可視化)
- 個々のプロジェクト毎に、制約の中で最適なチーム編成を必要とする(組織化)
- 高い能力・経験を持ったプロは、出版社の周辺にしかいない(アクセス)
おカネに糸目を付けないというようなことは、商業出版でも不可能であり、ベストよりはベターの選択をするわけだが、最も安価な自主出版プラットフォームという選択肢はつねにあり、あるいは自分に最低限の知識があれば、プロに頼む部分は必要最小限でもよくなる。
Bibliocrunchは、著者・出版社を練達のプロのコミュニティと結びつけることで、ベテラン、新人を問わず、出版したい人の成功をサポートするためのコミュニティ・サービス。サイモン&シュスター、ペンギン、ランダムハウス、ハーパーコリンズなど、最大手出版社を含む経験者をネットしており、会員登録することで理想的な組合せによるチームが構成できることを謳っている。VIP Service Membershipもあり、コンテンツにプロセスの組立てから最適なチーム編成までをガイドしてくれる。◆(鎌田、12/18/2014)