E-Readerなどモバイルデバイスの普及で児童・青少年向けE-Book市場が急成長している。年代別の本の消費動向を調べた最近のニールセン社の調査は、13-17歳の“デジタルネイティブ世代”が意外にも上の世代に比べて読書のデジタル化が遅れているという結果を伝えた。しかし、回答パターンからティーンズの読書行動を理解するのはかなり難しい。
しかしオンラインの影響力は浸透している
ニールセン社のデータは、今週金曜にニューヨークで開催される Nielsen Children’s Book Summit のために同社が準備したもので、13-17歳、18-29歳、30-44歳の3つの世代を比較している。それによると、E-Bookを購入しているのは、ティーンでは20%に止まり、青年の23%、壮年の25%に及ばない。フォーマットとしてのE-Bookには親しんでいるものの、印刷本の方を好む傾向が出ており、購入行動には反映していない。これは圧倒的に多く(94%)が「子供は印刷本に親しませるべき」と考える親の世代の意向が反映したものか、それとも「買うより借りる」という新世代の消費行動パターンによるものか、マーケッターの頭を悩ますところだ。
調査は一見矛盾する数字を示している。7-12歳の子供を持つ親の94%が印刷本を買ったとしているのに対して、1Q14に購入された少年少女本の25-32%がE-Bookだった。子供はE-Bookを読んでいると回答したのは50%。E-Bookの購入については、どうも過少申告している可能性がある。子供の50%以上はオンラインより街の書店や図書館で本を探している。しかし、口コミやブログ、SNSの影響力も大きく、45%以上はティーンズ向けサイトで本の情報を得ている。とくに女子ほどその傾向が強い。しかし、彼らに最も強い影響を与えているのは「シリーズ前作」であり、『ハリー・ポッター』や『ハンガー・ゲームズ』などの爆発的成功を裏づけている。(下は、本を選ぶときに影響を受けている情報源)。
Nielsen BookScanで世界10ヵ国のPOSデータを集約する米国ニールセン社は、6,000人の図書購入者をモニターする 'Books and Consumers U.S. Survey' という月次オンライン調査のほか、3,000名の少年少女購入者(ティーンと両親を含む)を対象とした 'Books and Consumer Survey' を四半期ベースで行っている。◆(鎌田、12/11/2014)