アマゾンのクリスマスは「プライム会員1,000万人増」

Black Friday_Amazonアマゾンは12月26日、2014年末のシーズン業績を発表した。これまでになく具体的な数字(商品別の例示という形)が多いのが特徴で、赤字増加を問題とし、1年で20%以上も株価を下げた投資家への一定の配慮を示したものとなっている。プライム会員の消費は盛大に消費し、デバイスも好調。今後も積極投資は継続する、というメッセージだ。

モバイルへの移行に成功

アマゾンの戦略的重心は「プライム会員」にあり、平均消費額が(非会員より格段に)高いプライム会員が持続的に増加することが同社の経営の順調度を示すバロメーターといえる。ある調査によれば、非会員の平均が320ドルに対して会員は年間538ドル。米国では昨年、コンテンツサービスの拡大に伴って会費を79ドルから99ドルに引き上げたが、消費者はこれを妥当なものと評価したようだ。シーズン期間中の会員の増加は「全世界で」1,000万人と発表されている。プライムは巨大な定額制メディアサービスでもあるのだが、値上げの試練に堪えたことで、この戦略は揺るぎないものとなった。

fire-stick_largeデバイスについての数字はないが、 Fire TV、Fire TV Stick、Fire HD 6、Fire HD 7がとくに好調。ブラック・フライデーのタブレットの売上は前年の4倍、リーダーは3倍と発表されている。これらのデバイスは、Kindleエコシステムの重心であり、Kindleデバイスのオーナーは“Kindle会員”でもあるという意味で、プライムと同じ構造を持っている。Kindleオーナーは、非オーナーと比べ、コンテンツの消費が30%あまり多いと推定されている(ある調査では年間361ドルに対して457ドル)。2014年にアマゾンは、Apple TVや Google Chrome Cast に対応する Fire TVをリリースした。Fire Stickが「アマゾンで最もよく売れた商品」となったことは、派手に失敗したスマートフォンと比べれば最高のスタートと言えるだろう。

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他の注目すべき数字として、アマゾンでの買い物の60%近くがモバイルデバイスを通じたものであったことがある。PC/Webサイトからモバイル/アプリへの重心の以降はここ数年間の大テーマだったが、Black Friday (2014年は11/28)やCyber Monday (同12/01)という、最も消費が集中するピークにおいて、モバイルがきわめて有効であることが証明された。商品を配送した国は195ヵ国に達し、商品の品目は前年比で10倍になった。

アマゾンのの2014年10大イベント

The Good eReaderは新年の記事で「2014年のアマゾン10大トピックス」を解説している。

  1. Twitchの買収
  2. ドローン(無人機)配送の実験
  3. Fire TV
  4. オンラインTV番組でのゴールデン・グローブ賞2部門ノミネート
  5. Kindle Voyage
  6. Fire Phone
  7. AWSとクラウドサービスでの価格戦争
  8. アシェットとの「抗争」
  9. Kindle Unlimited
  10. 巨大建築プロジェクト(リーク情報)

本誌では、8と9については頻繁に取上げ、2、4、10はスルーした。周知のように、アマゾンの活動領域は広大だが、重要なことは、「すべて」がバランスよく統合されているところだ。そこではライバルとパートナー、顧客は区別されず、相対関係(数式)で表現される。ドローンは宅配サービスと(ある程度)対立するが、宅配業者も必要な存在であることは変わりがない。自前のTV番組をプロデュースしても、ライバル番組も必要としないわけではない。アマゾンは消費者との間の最短アクセスを構築するために莫大な投資を惜しまないが、そのサービスはライバルも含めてすべてに開放されている。

Bezos-amazon-fire-phoneデジタル世界では本もアプリも、TV、映画も等しくコンテンツで流動性もあるのだが、アマゾンが一貫して本を重視しているのは、その個別性がロングテイルの微妙な動きを最も正確にマッピングするためだ。出版社が「儲からない」といって手を出さないものまで拾い上げる活動は、多くの人には不可解で不気味だろうが、これがアマゾンの成長力、競争力の原点なのである。それによって価格とスピードへの対応が可能となる。

1.7億ドルの赤字を計上して明快な失敗となったFire Phoneは、大幅値下げ、SIMフリーで在庫を整理する一方、ゼロから見直して2016年に再チャレンジするという情報が流れている。このチームはベゾスCEOが直接指揮しており、新技術を無造作に(未消化な形で)並べた観があった初代機の問題点を徹底的に検証していると見られている。これについては別の記事で検討してみたい。

最後のは、シアトル近郊に7.5万人が働ける巨大ビルを建設するというものだが、アップル本社の「宇宙基地」のように斬新なものではなく、たいした意味もないが、アマゾンという企業が(店舗も含めて)しだいに可視的な存在となっていくことを意味する。 (鎌田、01/04/2014)

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