音楽「販売モデル」の凋落は何を語るか

spotify-logoCD売上の定常的減少はもはや常識だが、最近ではダウンロード(DL)もCD販売を追っている。替って増えているのは定額のストリーミング(ST)とアナログLPという両極である。これにYouTubeも加えるべきだと思うが、これは業界の売上に入っていない。この現象は書籍の将来に何を暗示しているのだろうか。

マスマーケティングの限界

Atlantic誌のデレク・トムソン編集長は最近「音楽販売の死」と題する記事を書いた。もちろん「死」というのは誇張だが、2013-14年の変化率が、CDのー15%に対してDLが-13%というのだから、これは構造変化と言うしかない。どこへ? STが54%増なのだから、そちらへの移行が起きているということになる。iTunes、SoundCloud、Spotify、Pandora、iHeartRadioなどなど。LP(米国人は“ビニール”と呼ぶ)が51%も伸びている。しかし、全体の3.5%にすぎないから、これをアナログの反攻と見ることもできない。その他の数字も販売の終焉を告げるかのようだ。チェーンストアの販売はー20%、ニューアルバムの販売はー14%、新曲のオンライン販売もー10.3%。

c8d01e1f7人々は音楽を主に消費の対象と考えるようになり、CDはおろかDLすら厭うようになったというのだろうか。販売市場では上位1%のアーチスト/バンドがレコード音楽収入の80%を占めていると言われる。しかし、ST市場はそれほど集中しておらず、トップ10の曲でも売上の2%に過ぎない。Spotify には3,500万曲が収録されているから、毎日数時間を聴くユーザーが毎日トップ10の曲を聴いたとしても一部でしかない。

どうやらメディアを通じて「トレンド」や「ヒット」をつくり出し、購入すべき価値があるものを推奨して販売に至る音楽産業の精巧で巨大なサプライチェーンが機能しなくなりつつあるということだ。人々は、それらが所有する意味のないものであり(いつでも聴ける)、音楽が生活に必要なものであるなら、巨大でより民主的なジュークボックスであるSTサービスで十分だと考えるようになったのだろう。所有する意味のあるものなら、DLやCDではなく紙と印刷物が付属しているLPのような実在感のあるものがよい。

これはE-Bookの「販売」と定額制、紙とE-Bookの関係について考える上でも参考になる。もちろん音楽はほとんど受動的なメディアなのに対して、E-Bookはより能動的に関われる可能性がある。DLの利点は音楽よりは大きい。しかし、1%を富ませる伝統的なマーケティング手法が歴史的使命を終えつつあることも確かだ。 (鎌田、01/28/2015)

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