デジタル急進展のロシアで進む電子図書館

librarycat2ロシア政府は先週、2015年から全土の公共図書館を現代的な情報・文化のハブに改造する「国立電子図書館」ネットワークの構築に乗り出すことを表明した。欧米の図書館が地域主導型なのに対してロシアは集権型で、技術的にはデジタルになじみやすいだけに、資金的に問題がなければ図書館の地域展開はスムーズに進むものと見られる。

2015年から図書館の電子化計画開始

「来年、われわれは国立電子図書館を立上げるが、これにはロシアにおける最大規模のオンライン文献、書籍、雑誌等々の集成となる。政府は承認済みの図書館のモデルを送付するが、それを実現することにより、既存の図書館を最小限のコストで現代的な情報・文化のセンターに変貌させることができる。この事業の成功例は、すでにモスクワ、ムルマンスク、ベルゴロドで見ることが出来る。」ヴラディミール・メディンスキー文化芸術相は州知事に対してこのように表明した。同サービスへの市民のアクセスはインターネットを通じ、図書館利用チケットを使って行われるという。

readingroom2ロシア文化相の図書館電子化計画は、メドヴェージェフ首相が推進する中等学校以上の教科書電子化と連動して進められている。最初の段階では50の電子図書館の設置が発表されていた。ハブはボリス・エリツィン記念大統領図書館(2007-)に設置され、図書、定期刊行物、新旧の文書・文献、デジタル画像/動画が収蔵されている。興味深いことに、プーチン大統領は(首相とは逆に)E-Bookの速すぎる普及は市場への脅威となり、読書文化の継承発展の見地からも好ましくないと表明してきた。電子図書館計画は、デジタル読書の促進と調整のどちらにも機能するものだが、具体的にどのように普及するかに注目したい。

Moscaw_libraryロシアのデジタル読書人口とE-Book市場は急成長している。議論の多いIDCの調査は、2013年中に英国とブラジルを抜いたとして、ロシアを米国、中国に次ぐ3位にランクしている。最大のE-Bookストア LitResのセルゲイ・アヌーリエフCEOは、同国の市場を5億ルーブル(1年前のドル換算で1,612万ドル)と推定していた。2014年初めのPublishing Perspectivesの記事(1/9/2014)をチェックしたら、2011年以来、市場は200%、100%、という規模で急拡大してきたという。デバイスは、PC/ラップトップ中心(モバイルは34%)から、スマートフォンとタブレットの普及で急速にモバイル中心に移行しつつある段階。(モスクワの地下鉄は利用者への無料電子書籍コンテンツの提供を始めた。写真はドストエフスキー駅)

「本は買うより借りる」という文化的伝統が強固で、そのうえ「海賊版天国」と言われたロシアで、定額制以外の販売市場が急成長しているとは知らなかった。ウクライナ問題に端を発する経済制裁が発動される以前は、世界的な大手出版社もロシア進出を発表していたくらいだから、上述の数字に誇張があるとしても、トレンドとしての急成長は確かだろう。 (鎌田、01/01/2014)

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