デジタルの根本命題:セス・ゴディン氏の提言(1)

SethGodinベストセラーの著者にしてマーケティングのカリスマ、セス・ゴディン氏が先週のDigital Book Worldに登場して出版社への提言を行った。目新しい内容ではないが、抜群のコミュニケーション能力による明快さと説得力はさすがのものがある。顧客と商品を理解することがビジネスの基本だが、人々はまだゲームが変質したことを知らない。

顧客とは誰か、E-Bookとは何か

DBW2015 彼は出版社に2つの「根本的な問い」を投げかけ、答をすぐに用意できなければ出版の将来を危惧せざるを得ないと言う。その2つの問いとは、ずばり、(1)顧客とは誰か?、(2)E-Bookとは何か?

rulesこれらがなぜ根本問題なのかを理解するために、彼は背景を巧みに語る。まず最初の問い。出版社にとっての顧客は、伝統的に書店だった(とくに米国の場合は書店が卸値で仕入れるのが基本なので)。書店に流せば、そこから先の「広い世間」は書店が引き受けてくれた。しかし、書店数が減少し、オンライン書店でE-Bookがインスタントに購入されるようになり、そうした自明の前提は崩れてしまった。出版社にとっての最終的な顧客は読者以外ではない。「出版社はアップルやアマゾンを顧客にしようと考えたが、これは最悪だった。出版社が顧客は読者だと言えるまで、彼らはオンラインで多くを得ている連中とは別のゲームを戦っていることになる。」まさにその「錯覚」によって、大手出版社はアマゾンにデジタル収入の3分の2を依存することになったのだ。「別のゲーム」という表現は秀逸だ。

2番目の問い。「もし出版社がKindleやiBookを考えているならば、E-Bookの可能性は非常に限られたものとなる。しかし、E-Bookとは<情報を、それを必要とする人々に届けること>だと考えれば、E-Bookの可能性はすぐに広がり多くのことを含むようになる。出版社はアマゾンやアップルだけと手を組むのではなく、それを超えたところで多様なソリューションを開発することが出来る。」

重要なことは出版社が読者との間に築く関係である、と語るゴディン氏は、20-30代の都会女性を対象にした生活情報誌、DailyCandyニューズレターを例に挙げる。創業者のデイニー・レヴィ氏は多くのフォロワーを得てこのメディアをNBCUniversalに1.1億ドルで売却した。「彼女の資産は読者との関係で、それこそ出版社が必要としている価値だ。」

後半で彼の提言と筆者のコメントを述べてみたい。 (2) につづく (鎌田、01/20/2015)

「デジタルの根本命題:セス・ゴディン氏の提言」全体構成

(1)
 顧客とは誰か、E-Bookとは何
(2)=
 ソーシャルメディア、定額モデルの効果は限定的
 出版とは読者との間に築く関係である
(3)=
 読書/読者はデジタル時代に再構築される
 消費者と読者の違い

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