定額サービスは販売を補完していた

buy_rent3先日、アマゾンのグランディネッティ副社長が、Kindle Unlimnitedについて、サービス利用者の消費額が増えていると発言したことを紹介したが、このほどNeilsen Bookという中立的調査会社からそれを確認する消費者データが一部公開された (The Digital Reader, 1/27)。販売市場と違う傾向が出ているのは、定額制が販売を損なうものでないことを示している。

定額利用者は「怠惰」な読者

書籍購入者の4%が専門のE-Book定額サービスのいずれかに加入しており、Kindle Unlimnitedも加えると10%に達する。つまりKUのシェアは他のサービス全体の2.5倍ということで、これは小売市場の状況とあまり変わらないことになる。アマゾンは大手出版社のタイトルがなく、自主出版が中心なので、アマゾンのパフォーマンスは凄いと言える。同じ条件なら勝負にならないだろう。KUに大手出版社のタイトルが並べば、定額サービスの性格が一変するくらいの影響があるかも知れない。

性別では男性が59%と、通常の購入者が女性が6割あまりなのと対照的だ。男性の場合は、他のメディアへの接触が多く、平均的に女性より「可処分時間」が少ないために読書人口・購入人口はもともと女性優位なのだが、定額制の男性優位は、このモデルがとくに(書店に寄る機会の少ない)男性に有効であることを示しているのかも知れない。

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年齢階層的には、どのサービスでもほぼ18-44歳が8割あまりを占める。購入者では45歳以上が4割近くを占め、また購入数では他を圧するほどなので、保守的な愛書家ほどこのサービスを利用しないということかも知れない。だとすればアマゾンの思惑(?)通り、重要顧客である中年以上の多読層ではなく、定額制を読書に怠惰な男性を取り込む手段になっている可能性がある。

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さらに重要なことは、調査対象者は一様に毎月かなりの金額を本に遣っており、とくに定額サービス利用者で58ドル、非利用者で34ドルとなっている。また前者は約10ドルという定額料金のほかに、購入するつもりがあると回答している。こちらは男性が17ドル、女性は14ドル。

これまでのところ定額制は、マクロ的には販売を補完するものとして機能しており、出版社に新しいチャネルの確立を期待させるものと言えよう。ScribdやOysterにとっては追い風だ。アマゾンはこのチャネルを主に自主出版やヒットシリーズのためのチャネルとして育てており、それでも機能させている。しかし、個々の自主出版作家にとっては、刊行ごとに「販売」と「貸本」のバランスを判断しなければならず、最適なパターンを発見することは容易ではない。 (鎌田、01/28/2015)

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