成長・成熟するWattpadの秘密

Wattpad-280x150英語圏を中心に全世界で登録ユーザー4,000万人を超えるソーシャル・ライティング/リーディング(以下SW/SRとする)プラットフォームWattpadがエンゲージメントを強化するためのツールを新たに導入したことを Good eReader (02/20)が伝えている。怪物的といってもよい規模に達したこのサービスの一端を知ることが出来る。

著者=読者のエンゲージメントを強める環境

最近追加されたのはWriter Analytics Dashboardという著者向けのツールで、作品の熱心な読者に関する分析データを提供する。以下のようなデータは、読者とのコミュニケーションに役立つことはもちろんだが、場合によっては著者の執筆作業に影響を与えることもあるだろう。

  • 章ごとのユニーク読者数
  • 章ごとの読者評価
  • 章ごとの読者コメント
  • パート、章ごとの読者時間(ストーリーのどの部分で読者が中止したかを知る)
  • パート、章ごとの評価およびコメント数
  • 読者の年齢、性別、居住地

ソーシャルであろうとなかろうと、E-Bookビジネスの成功の鍵が「エンゲージメント」であることは説明を要しないと思う(本誌解説参照)。Wattpadは現在の規模になっても、毎秒一人、毎日10万人の新規ユーザーを受け容れ、アップロード・ファイルは1億を超えるまでになっている。平均的なユーザー・セッションの長さは20分で、インターネット上のサービスの中でもとびぬけている。毎月の滞在時間数は、延べ110億分にもなるが、1分ごとに24時間分(毎日34,5600時間)のコンテンツが蓄積されているので、泉が涸れることはない。

こうした数字は、いかにWattpadがユーザーの生活の一部になっているかを示すものだ。そのWattpadのエンゲージメント戦略は、自作を投稿し、多くの人に読んでもらいたい著者と、新しい著者と作品を見つけ、継続的に見守るという、他では得られない読書体験を求める読者のそれぞれに向けられたものだ。そしてそれらの間をつなぐのが「著者=読者のエンゲージメント」で、じつはこれが最も重要な要素であり、Wattpadの成功の秘密と言えるだろう。
Engagementアマゾンが買収したSRプラットフォームのGoodReadsでも「著者=読者のエンゲージメント」は重視されているが、多くの有名作家を含むプロの作家ともっぱらその作品を読む読者の間のコミュニケーションは、Wattpadのそれとは性格が違う。前者は醒めており、後者は熱い。それを好んでWattpadに投稿する有名作家も少なくない。Wattpadの量的拡大は、盗作や剽窃、反社会性などの問題コンテンツに直面させることになったが、これまでのところ、うまく乗り越えてきている。ユーザーの成熟があればこそだ。 (鎌田、02/24/2015)

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