アップルが1月27日に発表したiPadの4Q販売実績は18%の下落を示し、このデバイスの将来が平坦なものではないことを感じさせたが、IDCが今週発表したタブレットのデータは、iPadが例外ではないことを示した。とはいえ、データには無視できない穴がある。6インチのタブレットが除外されていることだ。
市場データの意味と無意味
IDCの推定によればQ4のタブレット世界出荷は前年比3%落ちて7,610万台。市場が飽和状態に入ったことを感じさせた。タブレットが飽和に近づけばアップルのシェアが落ちるのは当然だが、サムスンやレノボも落ちている。アマゾンに至っては7割減。通年では4.4%増とまずまずだが、ここでもアマゾンとアップル、とくに前者の下落が大きい。しかしIDCのデータはアマゾンの6インチKindle Fireを含めていないという致命的な問題がある。なぜ致命的かというと、6インチのスマートフォンが登場したからといって、機能・用途をタブレットと同じくする6インチデバイスを認めない理由にならないからだ。6インチは主として子供用だが、子供には「タブレット」なのだ。HPとアップルは近々に12インチ・タブレット発売を予定していると言われる。これはタブレットなのだろうか。
6インチの数字はないが、これを含めれば、2014年のタブレット市場はまだ10%台の成長となった可能性が強い。タブレットは汎用メディア・デバイスであって、タッチ操作が可能な6インチから20インチまでのサイズを取ることが出来、用途別に機能が分化していく。スマートフォンは(セキュリティ上問題が多いが)タブレットとしても使うことが出来る。いずれもアプリとクラウドサービスによって決まる。しかし統計的には「客観的指標」が求められるので、6インチはスマートフォン、7インチはタブレットというアップルの区分けに従うのも理解できる。6インチが名実ともにタブレットとして認められるのは「キッズ・タブレット」の確立を待つ必要があるだろう。
数年以内にタブレット市場では100ドル以下の製品が多数を占めることになるだろう。また1人数台を保有するのが一般的になる。アマゾンのようなメディア・サービス直結型が減ることはない。E-Readerは実質的には読書タブレットなのだが、機能的制約がうまく「読書の聖域」というニッチを形成している。◆ (鎌田、02/05/2015)