オンライン4割の英国出版市場

book-insights2014年の英国出版業で、初めてオンラインの売上が実店舗のそれを上回った。3月25日に開催されたニールセン社のBookInsightsカンファレンスで発表されたものだが、オンライン≒アマゾンで、そのシェアがさらに高まっていることは言うまでもない。書店の焦燥感は募るが、出版市場が拡大するのは悪いことではない。

Kindleが95%という英国市場は何を語る

印刷本とE-Bookを合わせた販売額は前年比4%増の22億ポンド。数量ベースではE-Bookが全体の30%を占めたが、これまで遅れていたノン・フィクションと児童書で相対的に高い成長が記録されたことが注目される。成年向け印刷本は4%減少したが、E-Bookがそれを補った形。児童書は全体で14%も成長したが、ここでは紙も健闘している。しかし、専門家によるとタイトルに偏りが大きく、ベストセラー以外は縮小気味とされる。

2014年のハイライトは、チャネルとしてのオンラインストアが初めて実店舗を上回ったことだろう。これは紙とデジタルを合計したもので、デジタルが増加していることによる。書店も印刷本でシェア挽回しているが、追いついていない。Nielsen Bookの英国消費者調査部門のスティーブ・ボーム部長は、デジタル読者が増えたのに対して、印刷媒体の購入者は過去3年間ほぼ一定であると述べている。また、デジタルが成長に貢献した分野があった一方で、犯罪、恋愛、歴史小説、年鑑、料理、健康・美容、旅行などの分野では2013-14年に売上が減少したという。

英国書店協会のティム・ウォーカー会長は円卓討論での席上、「私はアマゾンの独占が起こす問題を懸念しています。われわれの推定では、英国でのKindleのシェアは95%に達しており、そのことが破壊的な影響を及ぼしています」と述べた。数字上、出版社と消費者に対しては否定的な結果とは言えそうにないが、少なくとも、アマゾンのライバルに対しては十分に「破壊的」であった。しかし、それはライバルに問題がある。Nookは来るのが遅すぎたし、Koboは有効な戦略を提起できなかった。アマゾンの強味は紙の本を最も広汎に売っているという実績にあるのだが、E-Bookしか扱わないのではほとんど競争にならない。本誌が主張し続けていることだ。

印刷本は、出版社、書店、消費者のいずれにとっても(E-Bookより)高コストであり、長期的に売上が漸減していくことは止められない。欧米の書店にとっては店舗の維持コストが問題となっており、本屋の数は減っているし、チェーン店では書籍以外の商品の比重が増している。デジタルで読むより紙で読む方が「ぜいたく」なのだ。メディアのデジタル化が進む中でE-Bookがなければ、出版は産業として没落せざるを得ない。書店は印刷本と店舗販売を守ろうとするあまり、顧客を失っている。顧客が望んでいるのはフォーマット/価格の選択の自由で、アマゾンはそれに対応しているに過ぎない。アマゾンが破壊的であるとするならば、文明とそれを受け容れる消費者が破壊的と言うしかない。

それにしても「95%」というのは、にわかには信じられない数字だ。米国で10%台以上のシェアを持つと推定されるアップルiTunesが、英国ではさほででないのか、Koboが米国と同様、まったく成果を上げられていないのか、あるいはまた、ISBNを持たないアマゾンの自主出版タイトルを含めているのか。いずれにせよ、アマゾンが他社とは別のゲームをプレーしていることは確かだ。英国の書店関係者はそれに気づいていないのか?

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