BEA2015にみるマーケティング支援ツール

IDPC_DBC2015-280x150発売までが勝負だった書店中心時代と違い、デジタル時代の出版は、発売からスタートするようなもので、そこから何かをしなければ、何も起きない。しかし、何をどうしなければいけないのかを知っている人は少ない。BEA2015で展示された著者/出版者向けのツールをIBP (05/30)がまとめて取り上げているので紹介しておきたい。

ネイト・ホフェルダー氏が注目したツールは以下の7点だが、筆者が知っていたのはごく一部だった。つまり、名の知れたものは取り上げていない。

DropcardsDropcards:ダウンロードのギフトカード・サービスはほかにあるが(Enthrill)、これは販売ではなく、見本などのプロモーションに特化したもの(音楽、書籍等)。DRMはサポートしないが、その代わりMP3など任意のファイルを扱える。

slicebooksSlicebooks :コンテンツを分割したりリミックスしたりして販売するためのツール。著者/出版社がそのコンテンツのパートを切り出して直販するためのツールだが、読者が選択できるものではない。分割販売は学術系や実用系ではよく見かけるものだが、それとは異なる。

Momentum:シカゴのMessが開発。クラウド・ファンディングのコンセプトをソーシャルメディア・キャンペーンに応用したもの。キャンペーン情報をシェアしてくれる人に無料コンテンツを配布し、規定数に達すると打ち切ることが出来る(リリース)。

bookgrabbr-logo-500x99BookGrabbr:これもMomentumと同じく、ソーシャルマーケティング・プラットフォーム。販促中の書籍等についての案内情報をを友人とシェアしてくれたら、無料でコンテンツをダウンロードできるもの(リミッターはなし)。

BooksIlove2BooksILove:本にフォーカスしたソーシャル・ネットワークだが、Goodreads よりはマーケティング寄りで、BEAでは著者のための(イベント性のある)プロモーションの場をアピールしていたが、本の抜粋を読者と共有するBookSnipsという機能もある。

BookHiveBookHive:読者が自分の本をどう思うかを知りたい、という基本的な疑問に答えることを狙ったもの。750名の読者のプールの中から8~10名の「ベータ読者」を選んで著者に貸出してもらう。ベータ読者は本を読んで質問に答える(著者も質問票作成に参加できる)。著者は生データと要約を受け取る。

FindMyAudienceFindMyAudience:自分の読者がどこにいるのか知りたいという著者に応えるサービスで、著者がマーケティング活動においてどんな場所、人々を相手にするのが効果的かを教えてくれる。市場調査会社のようだが、ソーシャルメディアだけにフォーカスしている。著者が書名、分野、キーワード、似た本などを入力すると、FindMyAudienceがソーシャルメディア・アカウント、フォーラムのトピック、ハッシュタグのリストを作成して送ってくれる。

以上のようなマーケティング支援サービスは、ほぼ以下のような特徴を持っている。

  1. 出版社だけでなく、著者自身が簡単に使える価格と操作性。
  2. 「読者」のことを知りたい著者、著者/本のことを知りたい読者のニーズに応える。
  3. ソーシャルメディアを基本ツールとして利用する。

マーケティングに革命を起こすと考えられているソーシャルメディアは、そのポテンシャルを否定する人は多くないものの、結果を引き出すには、さらに別の仕掛けが必要なことが分かってきた。ホフェルダー氏が紹介したサービスは、いずれもSNSを使うためのプラットフォームという性格を持っている。いずれも使ってみたくなりそうなものが多い。 (鎌田、06/04/2015)

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