フォレスター・リサーチ社は、世界のタブレット販売の伸びが止まり、2010-2013年に急上昇したタブレット販売は、今後ほぼ停滞すると予測した。しかし、これは「大画面iPhone」からタブレットがまだ分離できていないための過渡的現象であると筆者は考えている。ジョブズの考えたメディアは、そんなものではないだろう。
マルチタスクOSでビジネスユースが本格化
同社によれば、2014年のタブレット販売は2億546万台。2015年は2億1,784万台で、以下2億2,946万台(2016)、2億4,016万台(2017)、2億4,995万台(2018)。成長を減速させつつ、わずかづつ増えていく。設置ベースでは、2014年が4億6,691万台。2015年は5億7,985万台で、以下6億8,228(2016)、7億4,414万台(2017)、7億8,162万台(2018)。リプレース期間は2年強からしだいに長くなり、3年あまりになるとみている。これはビジネスユースの拡大を見ているためだ。つまり、同じタブレットでも構成・活用場面が変わることを予想している。
フォレスターが停滞予想に傾いているのは、スマートフォンの大画面(5"強)化とタブレットの売上鈍化に強い相関があるためだ。ファブレットと呼ばれる大画面スマートフォンは、タブレット市場を侵食したこの傾向はまだ続くだろう。しかし、ビジネスユースが拡大すれば、主として安全上の理由でスマートフォン(電話機能)との共存を難しくすると思われる。それ以降にタブレット独自の成長機会が生まれるだろう。現在、29%もの企業がタブレットを従業員に支給しているとされるが、電話との分離によってタブレット独自の領域が広がる。
これまでの5年間の成長は、基本的にiPad型のメディア・タブレットだった。マルチタスクのモバイルOSの普及が遅かったことで、ビジネスアプリケーションの設計が相当にやりにくかったことは想像に難くない。iOS9、Andoird M、Windows 10の新世代OSは、それらに対応するものとなるだろう。ビジネス用には、大画面やスタイラス/手書き入力、より高度なセキュリティも必要となる。教育がその一つだが、用途の拡大は、新たなタブレットの進化を伴うはずだ。筆者は、クラウドサービスと連携したタブレットの第2の進化を来年以降に予想しており、それにより販売台数は3億台を超えると見ている。タブレットを生かすものはクラウド・サービスで、それは読書端末でも同じことだ。◆ (鎌田、07/16/2015)