適応学習技術のニュートンがアシェットと提携

Hachette-Livre-300x96世界第3位の商業出版社、フランスのアシェット・リーヴル社は9月10日、米国Knewton社の適応学習技術を応用したK-12用デジタルカリキュラムの共同開発に関して提携したことを発表した。急速に成長している教育系スタートアップのニュートンは、新たに仏語圏の教育出版市場への足掛かりを築いた。

生徒の学習ニーズに対応したコンテンツ生成支援

knewtonアシェット・リーヴル社(HL)のフランスの傘下教育出版ブランドであるHachette Education、Les Editions Hatier、Didier、FoucherがKnewtonの技術を用い、個々の生徒のニーズに合わせたパーソナルな教材ライブラリを動的に生成可能にする。最初のシステム製品は2016年度から利用可能になる。

仏HLデジタル教育開発部のキャロル・ペルセーギブール部長は「適応学習は、教師にとってすばらしいツールです。ニュートン社の技術を導入することで、私たちは生徒が何を知っており、何を学習する必要があるかを示せます。それをもとに先生たちは生徒一人一人のためにコンテンツを作成できます」とコメントしている。HLはフランスのK-12から高等教育課程までの教科書を出版しているが、Knewtonを次世代のデジタル・プロダクトの一部として採用することを計画している。ニュートン社の創業者であるホセ・フェレイラCEOも、「HLとの提携により、フランス語圏の先生・生徒たちが、個々人向けに誂えられた学習教材のセットにアクセスするお手伝いが出来ます。」と述べている。

knewton-noah15-berlin-4-638 (1) 教材やコースを学習者個人に最適化させる適応型学習(Adaptive learning)は、EdTech (教育IT)の中心的技術の一つとして、デジタル教育インフラの整備を急ぐ各国で導入が進んでいるが、米国ニューヨークのニュートン社は、ホートン・ミフリン、マクミラン、トライアンフ、ケンブリッジ大学出版を含む大手出版社と提携を進め、技術的・市場的に業界をリードする存在となっている。データマイニング系のパーソナライゼーション技術は、広告やコマースなどですでに利用実績があるが、制度的な壁が大きい教育は、それらと別なアプローチが必要とされ、遅れてきた。ニュートンは、多言語環境に対応し、先進国だけでなく新興国にも展開することで優位に立ったと考えられる。

余談だが、生徒個人のニーズに最適化させるという場合の「個人」は、卒業後の「進路」に対応し、カリキュラムは「進路」の専門性が要求するものに対応する。ヨーロッパの教育は中等教育からの進路選択を前提としているので普及は早く、スムーズだろうと思われる。日本では学校教育が「受験」指向なので、制度的な導入は非常に難しそうだ。英語力などの個別能力開発のほうが相対的に導入しやすいと思われる。 (鎌田、09/16/2015)

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