ディズニーが考える「未来」はアプリ中心

ディズニーは10月21日、2016年に英国と欧州で定額サービス DisneyLifeを導入する構想を発表した(米国は含まれていないが除外もされていない)。iOSとAndroidで利用でき、月額10ポンドと高めだが、同社のクラシックのほか最新のPixarカタログもカバーされている。ボブ・アイガーCEOによると、「ここには多くの点で未来が先取りされている」という(Variety, 10/21)。

欧州でアプリを使った定額制サービスを開始

欧州はフランス、スペイン、イタリアおよびドイツが挙げられている。しかし、そのテクノロジー・プラットフォームは米国および同社の全ブランドに適用可能なもののようだ。というよりは、テストも兼ねて欧州で先行し、米国については既存の契約関係の更新状況をみながらということだろう。もちろん、交渉姿勢は強気のものとなるだろう。DisneyLifeには新着タイトルが追加されるが、Star Wars とMarvel関連は含まれない。しかし、アイガーCEOによれば、これらも将来の検討には入っているようだ。

disneylife-353x500ディズニーはアプリに注目しており、リニアTV(従来型のTV放送)には未来はないと考えている、とヴァラエティ誌は伝えている。「一般的な意味において、世界はこの方向に進むだろう。多チャンネルTVもあるし、弊社も参入する。しかしアプリのUXはさらに多くのレイヤを提供し、番組を連続させるチャンネルよりも、圧倒的に豊かなコンテンツを届けられる。」

The Digital Readerのネイト・ホフェルダー氏は、「アイガーCEOは半分だけ正しい」とコメントし、ストリーミングが残り半分の大部分を占めると考えているようだ。しかし、ストリーミングはアプリの環境の中からコントロールできるし、YouTubeだけがストリーミングというわけでもない。ディズニーはアプリを未来のインタフェース/プラットフォームのベースとして考えていると思われる。

何が「未来」かは、ディズニーが何を目ざしているかによる。この会社が目ざすことは、創業以来一貫している。消費者とのダイレクトなコミュニケーションである。しかし、メディアコンテンツの流通において中間を排除するのは、映像や書籍では困難で、「ディズニーランド」のような専用施設を必要とした。だからデジタルにおける戦略的目標は最初から定まっている。既存のメディアへの依存を減らし、関係を徐々に断ち切り(あるいは変更し)ながら、ダイレクトに置き換えていくというものだ。具体的な行動は、技術の発展とアマゾン/Googleの動きなどによって進められていると考えられる。

DisneyLife2当然アマゾンもディズニーを意識している。同社は「ユーザー」に強いが、それはコンテンツ流通における仲介者となることから築かれたものである。ベゾスCEOは、その地位が脆弱なものであることを十分に認識し、公言している。だからこそ、独自のコンテンツを持つメディア企業を志向しているのだ。他方でディズニーは、世界有数のコンテンツ・メーカー/メディアブランドとして熱狂的なファンを背景にしているが、より「ダイレクトなチャネル」を求めている。それは他のメディアに依存すべきではないと考えているからだ。メディアにとってディズニーは、コンテンツ企業として重要だが、直販すればライバルになる。結局、メディアは集約されていくだろう。20世紀的なメディア分業(制作・製造・流通)は過去のものになる。 (鎌田、10/29/2015)

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