米国のホートン・ミフリン・ハーコート社(HMH)は10月21日、幼児教育コンテンツの定額制サービス Curious Worldを発表した。遊戯的学習誘導教材のビデオ、ゲームおよびE-Bookが含まれており、価格は月間10ドルまたは年間80ドル。HMHはこれまでScribdとOysterから定額制サービス用タイトルを提供してきたが、新たに自社提供に着手したもの。
キャラクター+IT+出版のフロンティア
HMHは倒産の危機から力強く立ち直り、教育ITサービスをスカラスティック社から5億7,500万ドルで買収するなど、教育出版社としての体制を整備してきた。Curious Worldは、教育コンテンツ提供プラットフォームで、ビデオ、ゲーム、E-Book500点のライブラリを基本に、毎週5-10点が更新される。人気キャラクター『スポンジ・ボブ』や『おさるのジョージ』の世界を学習コンテンツに取り入れて子供の好奇心を刺激しつつ、学習に誘導する仕掛けになっている。人気キャラクターを使うのはディズニーと同じやり方だが、'Math Arcade'、'Skyscraper Builder'、'Coral Reef Explorer'といったオリジナル教材も揃えている。
HMHは、年齢別に8教科の内容をバランスよく配合したことを強調している。科学基礎、算数、言語を中心に、保健衛生、家族と社会、社会・情操教育が含まれる。システム的にはオンラインとオフラインの世界を結びつける配慮もされており(『おさるのジョージ』と一緒にお遊戯)、また子供の真直度を表示・評価する保護者向けのダッシュボードもある。こうしたLMSは必須の機能のようだ。
Curious Worldは、マルチメディア・コンテンツだけでなく「サービス環境」を含めて提供する点でたんなる定額コンテンツ・サービスではない「教育サービス」としての性格を強くしている。出版とキャラクター・ビジネス、それにITサービスの融合は、マス・マーケットへの入口に立った。組合せは様々だが、出版社がこの大きな潜在市場を主導できるかどうかは定かではない。
同じ市場での競合では、Amazon Freetime Unlimited (AFU)があり、こちらは月5ドル(プライム会員は3ドル)でカタログ・タイトルは約8,000点。Kindle Fireプラットフォームで利用する。50ドルタブレットは主にこの市場をターゲットにしていると考えられている。Curious Worldは他のタブレット(iOS、Android)で使うのだろうが、総コストはアマゾンよりはかなり高くなりそうだ。しかし、HMHのブランド・イメージの高さのほか、強力なキャラクターを揃えているので、所得階層によっては抵抗はないだろう。◆ (鎌田、10/22/2015)