二極化する出版:(1)中小出版社の没落

sandwichニールセン社の分析によれば、出版市場はビッグファイブ(B5)とインディーズに二極化しつつある。前者はグローバルなネットワークによって、後者はE-Bookと会社を持たない身軽さによってデジタルな世界に適応している。巨大化と極小化の中間には、非常に多数の、ふつうの出版社がいる。出版文化を支えてきた、伝統と個性を持った出版社だが、いまその中堅が危ない。

ビッグファイブとマイクロ・インディーズに圧される「ふつうの出版」

本誌は過去5年以上、メガトレンドとしての出版メディアのデジタル転換(境界喪失時代の市場形成)を、仕掛け役としてのアマゾンを軸に、B5とインディーズの動向を中心にウォッチしてきたが、個人的に気になっていたのは、数世代にわたって存在してきた「ふつうの出版社」の運命である。B5は地球的規模の存在であり、それぞれ複合メディア企業を背景にしている。彼らのデジタル戦略は、グローバル化とマーケティングを先行し、E-Book市場の成長を「抑圧」するものである。しかし、時を見てE-Book市場への反攻を開始することは間違いない。

Costa-Book-Awards-shortlist-2015他方で自主出版として生まれたインディーズは、多くの職業的著者に選択されることで、しだいに数と勢いを増している。米英の書評メディアが選ぶ今年のベストブック表彰でも、大出版社のものと並んで、インディーズ本がかなりの数を占めるまでになった。欧米でインディーズとは、超大手から準大手までの出版ビジネス(大部分が上場企業)ではない、伝統的なタイプの出版人が興した出版社を意味してきたが、別のインディーズの急増で、非出版社系のインディーズを「マイクロ・インディーズ(MI)」と呼んで区別するようだ。MIはデジタル・ファーストであり、アマゾンとともにデジタル転換の推進勢力となるだろう。

良書を世に出してきた「ふつうの出版社」の影は薄くなっている。業績発表などはないが、名の通った出版社も経営が悪化していると推測されている。やがてB5のブランド・コレクションに加えられるのだろう。旧ブランドのスタイルが維持されるのならば悪いことばかりではないと思うが、実際にはグループ内での競争激化、管理強化が進み、優秀な編集者や著者たちが離れてMIに移行する要因にもなっているようだ。大出版社は書店への営業を強化しているが、それは「ふつうの出版社」をさらに追い詰める。MIが多くなるのは、印刷本より格段にいいE-Bookの印税配分のためだ。ある程度の知名度がある著者にとっては、いくら出版社=書店への愛着があっても、経済的にMIは必然的な選択となる。 (鎌田、11/26/2015)

Comments

  1. 「ふつうの出版」が生き残る道は、googleが作ってくれた、検索システムをいかに活用するか、だという気がします。

    「読者、消費者、ユーザー、すなわち著者以外の人の興味、関心から出発する、「意味」探索のためのツールを、我々はついに手にすることとなった。だからこのたびのGoogleの勝利は、読者の勝利でもあるのだ。」
    フェアユース Google Book訴訟と |EdTechPedia | ちえのたね|詩想舎 http://society-zero.com/chienotane/archives/3155

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