Shelfieにシュプリンガーの10万点

Shelfie2紙とデジタルのバンドリング・ツール Shelfie で知られるカナダのBitLitは12月7日、STM専門書出版大手のシュプリンガー社と提携して、Springer Natureブランドの10万点の書籍のE-BookバンドルをShelfieで利用可能にすることで合意したと発表した。昨年末の時点では登録タイトルが5万点以下だったが、1年で10倍余りにも拡大している。

ニッチの軌道に乗ったバンドリング・プラットフォーム

BitLit_SpringerShelfieは自写撮りの“セルフィー”とシェルフをかけたネーミングで、ユーザーが本棚を撮影して送れば、デジタルバンドルが可能かどうかを送ってくれる。ダウンロードする場合は、版権表示ページに書名や蔵書印などをマークして認証を得る。iPhoneとAndroid用の無償アプリで利用する。シュプリンガーのライバルのエルセヴィアとは昨年11月に契約しているので、これでSTMの主要タイトルをカバーする体制が出来たと思われる。

Shelfieは印刷本の購入者にE-Book版を提供/販売する「デジタル・バンドリング」のプラットフォームで、アマゾンのMatchBookに相当するが、ストアの販売データの照合ではなく、現物の保有確認という簡易な方法で購入認証を行うので、出版社が(アマゾンに依らず)独自に行うことが出来るメリットがある。Shelfieを利用する出版社は1,200社、数十万部のE-Bookがリストされているが、シュプリンガーの10万点は最大規模と思われる。ハーパーコリンズ、マクミラン、エルセヴィア、ワイリー、オライリーなどの出版社が利用している。

「デジタルバンドリング」は専門書読者には大きな意味がある。必要で使う高価な本なので、二者択一すると多くは印刷版を選択するものの、分厚く、重い本は扱うに厄介で、引用、参照、検索などにも不自由する。これまで両方欲しい場合には両方を購入するしかなかった。アマゾンのMatchBookは、CDやDVD購入ユーザーへのサービスとして提供されているものだが、最大の欠点はAmazon.comに限定されることと、(出版社にとっては)アマゾンのマーケティングに直接利用されてしまうことだろう。BitLitはうまくニッチを確保したようで、今後のプラットフォーム展開が期待できる。

Shelfieの認証方法は、日本でも例えば「自炊」の代替手段として提供することが可能だ。出版社は熱心な読者とのコンタクトがとれるし、デジタル複製を抑制することもでき、ましてや無粋きわまる「法的措置」に訴える必要もない。 (鎌田、12/10/2015)

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