HQがデジタル・ファースト連続スリラー

Harlequin_logoハーパーコリンズ傘下のハーレクイン社は1月12日、新趣向のデジタルファースト・シリーズ作品出版企画を立ち上げた。4人の作家が共作=競作するミステリ-サスペンスの'Tough Justice' は、8部構成ながら同時出版される。「ストーリーがどう書かれ、どう読まれるのかというルールは、時代によって変化していくものです」と同社は述べている。

4人の作家による共作=競作は相乗効果を生むか

1500x500_TwitterCover-1024x341 (1)たしかに本の制作と流通のプラットフォームが変化した時代、ストーリーも大きな変化を経験してきた。連作やポケット本、予約制などはすべて過去に生まれたもので、デジタル時代に入って起きていることは、まだイノベーションというよりは、紙と印刷物の大量消費の時代に失われてきた道具箱を漁っている段階のように思える。アマゾンのKindle Serialsがチャールズ・ディケンズをなぞっているのが一例だ。今回ハーレクインが試みたのは、シリーズの各回がはらはらするエンディングで終わるエピソードを別々の作家がつなげて書いたものを同時に出版するという趣向だが、出版市場で初となったかもしれない。

'Tough Justice'は、人気TVシリーズの 'The Blacklist' や 'The Killing and The Fall' のようなタッチのサスペンス。ニューヨークで極秘任務についているFBIエージェントがヒロイン。彼女の素性が明かされることによって、連続する殺人事件に自身の過去と現在が衝突・交錯するのっぴきならない状況に巻き込まれて…というスリリングな展開とのこと。参加している作家は、カーラ・キャシディ(Carla Cassidy)、タイラー・アン・スネル(Tyler Anne Snell)、キャロル・エリクソン(Carol Ericson)、ゲイル・バレット(Gail Barrett)の4人。カーラ・キャシディはNYタイムズのベストセラーにランクされたことがある。各エピソードはほぼ3万語。第1話は無料で、続きは1.49ドル。E-Bookまたはオーディオブックで読むことが出来る。第1話と第8話をカーラ・キャシディが担当している。

英文の30,000語×8本は、日本語にした場合、1点100ページとして800ページ前後のサイズと思われる。E-Bookの価格は7冊分で10.5ドルと、まずまずリーズナブルな価格。おそらくぺーパーバック化もされると思われるが、その点の説明はない。これをデジタル・ファーストにしたのは、8人の著者のSNSとデジタル・マーケティングによる相乗効果が期待でき、紙の刷部数が予測しやすくなるためだろう。 (鎌田、01/14/2016)

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