B&Nはオン/オフ連携をデザインできるか

B&N stores2B&Nが年内に新しいデジタル対応書店のモデル店舗をオープンするアイデアを表明した(i-Retailer)。アマゾンの書店逆進出を迎え撃つ形となるが、同社は2012年にも既存店舗のデジタル化を計画したものの、社内の抵抗で挫折した経緯がある。深刻な危機に見舞われている全米最大の書店はここから巻き返せるのだろうか。

オン/オフ連携は小売業界最大のテーマ

ロン・ボイリーCEOがカリフォルニア州パームスプリングスで開催されたeTail West で語ったもので、モバイル、デスクトップ、ストアがフルに連携された「デジタル体験」に向かってのストアの挑戦とされるが、コンセプトや場所などの詳細は述べていない。「いま申し上げられることは、2016年というカレンダーと、それがB&Nの既存店舗とは違ったものとなるということだけです。」とりあえずゴールは設定された。アマゾンと似ていたとしても問題はない。プロトタイプが実証され、それが全店舗に導入可能なものならば。

la-fi-amazon-books-20151103アマゾンが昨年11月にシアトルに開設した書店(Amazon Books)は、その後も大きな波紋を生んでおり、400点以上の大量出店というかなり怪しい噂までがWall St. Journalに報じられて小売業界も驚かせた。それはオンライン(デスクトップとモバイル)とオフライン(ストア)の連携が小売業界全体にとっての最大のテーマであることを、オンラインの覇者が示していると感じられたからだろう。

B&NでNookを立ち上げたウィリアム・リンチCEOは、かつて(2012年)NFCチップを本か書棚に取付け、来店者がサンプル(オンラインで)入手できるようにするアイデアを示したことがある(Fortune, 05/01/2012)。利用者からするととても魅力的なものだったが実現することはなく、リンチ氏は退場した。書店の「ショールーム化」を怖れたためだと思われる(The Digital Readerは「CEOがリンチされた」と駄洒落を飛ばした)。その後、同社はデジタルをめぐって迷走を続け、Nookは失速し、Webストアのリニューアルにも躓いた。現在は玩具やパスタまで売って客足を確保しつつ、買い手を待つだけの状態と言われている。

Amazon Booksの真似なら無意味

onoffこれまで「既存店舗」を絞り込んで売上を維持する以外、何のビジョンも行動も示さなかったB&Nが、初めて「オフライン・デジタルストア」構想が示された。これがAmazon Books登場以前から練られていた可能性は残念ながら低い。あまりに情報が薄いためだ。時代はオン・オフの二択から、連携・共用の時代に入った。それをリードするのは「オンライン」であるなぜならモバイルはほぼ常時オンになっているのに対して、ストアのほうはオフの時間のほうが長いからだ(これにはプラスもある)。

アマゾンの店舗は7,500平方フィート(210坪)あまりとコンパクトで、オンラインのデータから約5,000点に絞られた本は、表紙が見えるように、Kindle/FireやEchoのようなデバイスとともに陳列されている。最初からオン・オフの連携を中心にデザインされている。B&Nの標準的店舗は30,000~40,000平方フィート(843~1,124坪)なので、これと別に小規模実験店舗を考えたのだろうが、アマゾンが恐れるとすれば、B&Nのスペースが完全に「デジタル体験」を提供する場となることだろう。B&Nにしてもウォルマートにしても、大店舗は、その大きな身の丈に合った「デジタル体験」をデザインする必要がある。その際に最も重要なことは、まず既存顧客のライフスタイルに合わせ、その満足や感動をデザインすることでなくてはならない。「ショールーム化」を怖れるようなことでは話にならない。「デジタル体験」はすぐに答えが出るようなものではないから、「モデル店舗」は有効なステップとはならないように思われる。 (鎌田、02/25/2016)

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