Reedsyが協調型編集・制作プラットフォーム

reedsy_logo3英国のスタートアップ Reedsy(リーズィ:reed(葦)に由来)は2月16日、インディーズ出版向けオーサリング・ツール Reedsy Book Editorを発表した。執筆からフォーマットまでの作業をサポートする編集・組版の出版環境として注目を浴びているが、それは著者とプロフェッショナルの創造的なやり取りを通じた「手づくり」の制作を目ざしているためだ。

「手づくり」品質の制作を支える自動化環境

Reedsy Book Editor (RBE)は、著者による執筆から出力(ePUBおよびPDF)までをサポートし、印刷本とE-Bookでの出版に対応する。組版機能はバックグラウンドで自動的に起動し、プロのデザイナーが制作したテンプレートによって原稿を整形する。出力ファイルは、KindleやiBooksなどの各種E-BookストアおよびPoDサービスに対応する。一番の売りは、強力な組版・フォーマット機能で、最新技術を駆使し、数ヵ月かけて開発されたというが、重要なことは、これが著者による孤独な作業を想定していないことだろう。著者がストーリーや文章に集中できるようになるには、システムだけでは十分ではない、と開発者は考えている。

Reedsyは編集者やデザイナーなどのプロが参加するプロジェクトに対応する。著者/出版者は、Reedsy Marketplaceで知り合った(複数の)編集者と原稿をシェアし、リアルタイムで作業が出来る。グループのやり取りと編集履歴は記録される。RBEは著者とプロフェッショナルの創造的なやり取りを通じた「手づくり」の制作を理想としている。それはもともと出版プロフェッショナル(編集、デザイン、広報、翻訳)のための人材マッチング・サービス Reedsy Marketplaceを背景としていることと関係がある。Marketplaceは2014年にスタートしたが、その質の高さが評価されて The Bookseller誌の BookTech Company of 2015に選ばれている。

Marketplaceと連動するBook Editor

The-CrossingBook Editorは、Marketplaceのニーズに応えて生まれたもので、以下のような機能は、商業出版社を含むグループでの作業に対応している。

  • 商業書籍出版用の無償ライティング/デザイン・ツール
  • そのまま印刷出力可能なテンプレートのセット
  • 数秒でePUB/PDFに出力可能
  • Writing Timelineによるバージョン管理と自動保存
  • 変更記録管理とコメント付加機能

Reedsyは、編集環境をKobo Writing Lifeに提供しており、またMarketplaceとBook Editorをイングラム社のIngramSparkに提供している。広汎なインディーズ出版支援サービスと結びつくことで、グローバルおよび水平的に展開するものと見られる。

出版は創造的で社会的な行為だ。それをサポートするものは、出版をどのようなものとして考えているかが問われる。文章を読めば、内容の深さ、言葉に対する厳密さが表れ、ブックデザインをみれば、それに携わった人々の活字文化に対する造詣やセンス、読者とのコミュニケーションのための意欲と能力が示される。本の価値を高めるのは最初の原稿が出来て以降であることが多い。これまでの「ツール」には、そうしたデリカシーが感じられなかったが、プロに必要な出版をサポートするには、出版のためのコミュニケーション(ビジネスプロセス)を標準化し、機能をツール化する必要があったためだった。Reedsyが英国で熱い支持を集めたのは、この会社が出版人のニーズに対応出来る意欲と能力を持っていることを印象づけたためといえる。 (鎌田、02/18/2016)

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