米国の学校でデジタル教材導入が進む

classroom電子図書館サービスのOverDriveは、米国の学校教育におけるデジタル化の現状についての最新の調査結果を発表した。全米の学校および学区の教育責任者2,000人以上を対象としたもので、K-12レベルの教育コースでのデジタル化とデジタルコンテンツの普及傾向を示している。課題はありながらも導入は着実に進んでいるようだ。

高校までの教育現場の80%で電子教科書・E-Book

OverDrive4レポート “Digital Content Goes to School”(学校に来たデジタルコンテンツ)によれば、デジタルコンテンツはK-12(つまり「幼稚園から高校を卒業するまでの13年の教育期間」)の教科書予算の3分の1を占め、デジタルの利用はなお拡大している。これは主として一貫した導入プログラムによるもので、73%はデバイスの導入、64%はコンテンツの導入を計画的に進めている。成果としては、教育のパーソナライゼーション=個別学習、授業への集中と参加などが挙げられている。

所属する学校や学区でデジタルコンテンツを使用している回答者の80%のうち、カリキュラムの中で使用しているのは4割。レポートは、コロラド州ロングモントの学区のカリキュラム責任者のコメントとして、「デバイスは教師が教えられる以上の知識を、指一本で生徒にもたらすことができる。従来の講義型のモデルはそのままでは通用しない。私たちは生徒たちを惹きつけるコンテンツを必要としており、生徒たちがいつでもどこでも情報にアクセスできる教室を実現できなくてはならない。」という発言を伝えている。

デジタルを必要とする教科では、英語/言語技術(ELA)を希望する教師が最も多く (74%)、科学 (62%)、数学 (61%)、社会 (56%)と続いている。OverDriveは、全米の数百もの学校が人気デジタル教材をそれぞれ創意工夫をしながら導入して効果を上げていることから、こうした傾向を重視している。今年はELAクラスでデジタル小説を使ったケースがあったという。

問題/経験を共有するプラットフォームが不可欠

tablet_in_schools回答者のほとんど全員はデジタルコンテンツの利点を認識しているが、いくつかの懸念が挙げられている。とくに、家庭でのインターネット環境の不平等による問題、そして教師がデジタルを嫌い、デジタルによる授業では満足も効果も得られないと感じる場合があることだ。それを回避し、結果を改善するには、デジタルコンテンツの導入方法に関して教師にも適切な職業教育を行う必要がある、ということで管理者の意見は一致している。

教育におけるデジタル教材の導入の最大の問題は、経験が乏しいことであり、解決には経験を重ねることでしかない。それだけに問題と解決を様々なレベルで共有するプラットフォームが重要となる。それがなくては電子教科書は(消極論や反対論に圧されて)進まないだろう。PCの時でもそうだったが、デジタルに対する(人には言えない)不安を軽視すると、膨大な費用が無駄になる。電子教科書は、コンテンツやデバイスの販売機会である以前にに、サービスであり環境であるということを認識しなければならない。アマゾンの教育プラットフォーム、Amazon Inspireは、その点で一石二鳥以上のものを狙っている(本誌「アマゾンが無償OER環境 Inspire発表」02/18/2016=会員向け 参照)。 (鎌田、04/07/2016)

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