アマゾンがNY市教育庁から大口受注

NYDOEアマゾンは4月20日、全米最大の学区を擁するニューヨーク市教育庁(NYDOE)から、教科書を含むE-Bookコンテンツの提供に関する約3,000万ドルの3ヵ年契約を獲得した。E-Bookの法人契約としては最大規模。さらに2ヵ年の延長が可能で、その場合は3,450万ドルの追加となる。なお、この契約にはKindleのようなデバイスは含まれていない。

3年間3,000万ドルのコンテンツを提供

Whispercast5Wall Street Journal (04/18/2016)によると、パネルでの採決では14件の申請の中からアマゾン案が全会一致で採択されたという。カタログの充実と平均を下回る価格が理由となったようだ。もともとは昨年夏にいったん合意されたのだが、全米盲人連盟(NFB)からコンテンツのアクセシビリティの不備(読上げ機能TTSへの非対応)について指摘がなされ、対応が義務づけられていた。少なくともNFBを満足させるものではあったようだ。TTSは出版社の許諾などで対応していないものがあり、またReaderではなくKindle Fireでしか利用可能ではないので、アクセシビリティに関しては同社の評判はあまりよくない。

ニューヨーク市教育庁は1,800の公立学校に110万人の生徒を管轄する全米最大の教育行政機関。今回の契約では、初年度が430万ドル、2年度目が860万ドル、8年度目が1,720万ドルとほぼ年度ごとに倍増していく。アマゾンの手数料は10%と15%の間と発表されている。これは通常の小売の場合の半分以下。同社は教育分野に注力してきたが、これはこの大市場を獲得する第一歩と考えられている。E-Bookを導入する学校側の直接のメリットは、印刷本の購入費用、収納スペース、補修コストの縮小である。

Whispercast3NYDOEが求めていたのは、デバイスに依存しない、クラウド上のOEM購入・配信プラットフォームの構築・運用であり、事実上競合はほとんどなかったものと思われる。アマゾンのターゲットとしては、大学市場があるが、こちらはマサチューセッツ大学(Amherst)やパーデュー大学のカレッジストアとの提携という形で先行している。

教育市場はファミリー市場とともに、ライフサイクル・マーケティングの要であることは言うまでもない。アマゾンの環境で育った子供たちはE-Bookに親しみ、デジタル/Kindleがファースト・チョイスとなる可能性が高い。アマゾンはKindle用に開発したWhispernet (3G)、Whispersync(デバイス間同期)、Whispercast (汎用図書管理)といった基盤技術を一般に提供しており、それによって教育・公共機関からの受注を有利に進めている。 (鎌田、04/26/2016)

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