データ・ガイとのQ&A (2)

Data-Guy-headshot-2-300x225データ・ガイが最も出版関係者に共有してほしいことは、マーケティングにおけるリアルタイム・データの利用だろう。出版プロジェクトの成否は時期的な要因に左右されることが多いが、これまではデータを得て利用する方法がなかったからである。AERは、詳細に分析することで発行計画など重要な判断に使うことが出来る。

リアルタイム・データの重要性

spider本はとてもリードタイムの長い商品だ。大出版社なら、来年発行する本のベストな組合せを決めなければならないが、対象になるのは1年か2年は前にとり掛かったものだ。インディーズでさえ、20~30点の刊行予定を持っている場合がある。ジャンルごとの市場動向をリアルタイムで掴むことは、出版の判断において決定的な意味を持つ。このシリーズをいつまで続けるか、新シリーズを始めるべきか、といった判断は、データの分析と吟味から生まれる。同じジャンルの作家たちによるKBoardsのフォーラムはよい例だ。データを得るのが4ヵ月も遅れたら、動き出したスケジュールでは対応できない。

市場への対応か先取りか

出版社が市場やデータを追いかけることには批判もあるだろう。流行を追うよりも創る側になれ、という議論は簡単だ。DGの答は簡単で、出版者は両方にならなければならないというものだ。「流行をリードするには人々が付いてこなくては」。データはいずれにせよ重要だ。

最大の障害

時間がない。AEのプロジェクトは、まだ好奇心旺盛なボランティアの仕事だ。ヒューと私は出版に情熱を持っており、書くことが好きで、作家が好き。われわれ自身も作家だ。しかし、この仕事に投入できる絶対時間は限られている。読者からの質問は次々に入り、そのたびにさらに奥に引き込まれていく。しかし時間はない。データを公開しているのは、これを使って作業を継続し、拡大・深化させてくれる人が現れることを願ってのことでもある。

出版社と新人著作者への機会

Martian2新人や中堅の作家は、明日のベストセラーに挑戦しているが、大手出版社の高価格によって読者から隠されてしまう。その影響は数年して、大手が新刊発行のペースを減速した時に現れるだろう。明日のベストセラーはインディーズから生まれる。アンディ・ウィアー(『火星の人』)のキャリアはインディーズでスタートした。妥当な価格で販売され、グラスルーツで生まれたファンに囲まれて成長し、その後在来出版社を通じて一般市場にたどり着いた。新人は低価格でなければ、まず読者を得ることはない。

Kindle Unlimitedについて

KUがスタートして以来、市場の変化を促していることは間違いない。しかし、因果関係には慎重であるべきで、それがどの程度KUによるものか、それとも在来出版サイドの高価格によるものかはわからない。今日の有償ダウンロードのかなり大きな部分は、インディーズや小出版社が占めるが25-27%あまりにもなる。インディーズの70%あまりはKUに参加している。読了ページ換算では有償分の54%になる。だからインディーズの売上の分の3のうち、半分あまりはKUによるものと考えられる。だから影響は小さくないと言えるだろう。

OysterとScribd

彼らのビジネスモデルは合理性を欠いていた。臨界量の購読者を獲得したら出版社と再交渉しようというものだった。しかし、これは経済的に成り立たない。会員数は臨界量に達しなかった。アマゾンは会員を増やす仕組みを持つことでこの問題を回避した。KUでダウンロードして読まれたものの3分の2は新規のものだ。これはかなり大きい。 (鎌田、03/31/2016)

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