ビジネスモデルを流動化させるGanxy (1)

ganxy出版社によるコンテンツ配信のシステム・サービスを提供している米国のGanxy(ニューヨーク)は4月12日、Webサイトを通じた大量/特別一括販売を自動化する新機能 Ganxy Bulk Sales (GBS)をリリースした。販売方法を個別化するシステムはこれまでストアが個別に開発するしかなかったが、GBSのようなサービスは、出版社の直販を容易にするものだ。

コードを貼るだけでコンテンツ販売サイトに

79d243df-bulk-purchase-downloadこれを利用したい出版社は、GBSを自社のWebサイトだけでなく、著者サイト、あるいはサードパーティのサイトから、コンテンツの大口販売を、一部販売と同じように、割引を含めて自動実行することが可能となる。GBSは、ユーザーがサイトにURLか埋込スクリプトを貼り付けるだけで使えるようになる。

サードパーティには、パートナー企業、特約書店も含まれる。GBSは、購入/仕入に利用することも可能で、購入希望コンテンツと予算、数量などを書式に記入するとGanxyが出版社にコンタクトする。成約不可の場合には代替物を提案する。成約されたタイトルについて購入/決済を行うと、Ganxyから最終ユーザーに、配布可能なユニークコードがCSVで送られる。最終ユーザーは、このコードを使ってGanxyのサイトからダウンロードする。

これはE-Bookだけでなく、ビデオや音楽、デジタル教材などのコンテンツ商品に適用できる。DRM商品なので、大口販売でも個々にライセンスを管理しなければならないのだが、同時に複数のIDを発行することは難しくない。

コミュニティにフォーカスしたビジネスモデル

ganxy.comGanxyによれば、すでにGBSは実際に適用されて大きな成果を上げており、1回の取引で1万8,000ドルを売上げた出版社や、製薬会社がある部門の従業員向けにE-Bookを購入した例、ある銀行が、カンファレンスの参加者3,500人のために購入した例、メールリスト掲載の1万名向けのギフトとして例などが挙げられている。またこのシステムを通じてE-Bookを一括購入した書店が、店頭で再販売した例もある。出版社がE-Bookの販売で独立系書店と協力する方法としては有力なものだと思う。Ganxyは「コミュニティ」にフォーカスし、オンラインとオフラインの両方に対応する。これまでにGanxy Cardsというサービスを提供しているが、これはカードの形でユニーク・コードを手渡しするもの。

bulksales-383x300同社のサイトでは、コンデナスト(雑誌)、ランダムハウス(書籍)、ワシントンポスト(新聞)、国連(国際機関)、ウォートン・デジタルプレス(大学出版)など性格の違う出版者がユーザーとして挙げられている。強力なブランドを持つこれらの出版社は、既存のチャンネルを補完するために多様な直販ルートを必要としている。それはB2Bのネットワークをコンテンツ販売に活用することだ。販促、ノベルティ、教育・啓蒙、など、目的や対象は様々だが、コンテンツはパートナーとそのコミュニティとの関係で機能し、まとまった売上を確保できる。

これらを見ると、GBSが主としてB2B出版のためのシステムであり、ノベルティとして有償コンテンツを一括販売/購入/配信するのに最適なシステムであると思われる。マニュアル、PR誌などの企業出版物や、各種団体の会員向け出版物など、かつて商業印刷物として大量に制作、配布されていた出版物(現在はコスト的問題であまり使われなくなっている)の市場は、GBSのような発行手段を持つことによって活性化するだろう。 (鎌田、04/19/2016)

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