“個性と感情の290ドル”だったKindle Oasis

Kindle_Oasis_device_only_US_Page1_00F_RGB-630x583アマゾンは4月14日、Kindleの最新世代の最上位製品Kindle Oasisを発表した。価格は予想を超える290ドル。Paperwhiteの2倍、Voyegeを100ドル上回るもので、今週末発売、27日に出荷となる。持ちやすい楔(V字)形で、シリーズ最薄・最軽量。E-Ink製の300ppi Cartaスクリーンを採用、ページ捲りボタンを片側に配置。撤去が注目されたUSBは残った。

Kindle史上初の「ファンキー」

kindle-oasis-963x477Wi-Fi版の価格は290ドルで、+3G版は360ドル、特典なしでは+20ドル。Kindleのベーシック版は80ドル、Paperwhiteは120ドル、Voyageは200ドルで引続き販売されるので、いやでも「価格差の意味」に注目が集まってしまう。これまで質実一辺倒のKindleはに「ステイタス」を意識させるモデルは皆無だった。本誌が予想した「オーディオ機能」は見事に期待が裏切られた。USBを使う可能性はあるが、あまり常識的ではない。

The Vergeは、「史上最もファンキーなE-Reader」と呼んだ。ファンキーを「クサい」とするか「カッケー」とすべきかに悩むが、両方だろう。これまでの、控え目で、無駄を省いて、お行儀のよい、限りなく紙に近い…という一貫したデザイン・ポリシーを捨てて、左右非対称、非平面の個性的デザインとなった。スクリーンはVoyegeを踏襲したが、LEDを60%強化して輝度を高め、画面コントラストを改善している。180度回転させることで左右どちらの手にもフィットし、片手で操作がしやすい。加速度センサの装備は中国発のリークの通り。130gと軽量にしたことで、保持しやすくする必要があり、本の背表紙にあたる部分が意味を持ってくる。一部で噂された防水性はなく、Oasisという名前からの連想は外れた。KoboやNookの最上位製品はこれを重視しているが、アマゾンは「無用」と判断したようだ。

デザインと充電カバーは価格差を正当化するか

Oasis_case2新しいデザインは魅力的だ。しかし、機能重視で考えればPaperwhiteと大差ないとも言える。そこで、Oasisの唯一最大の驚きは、290ドルという価格だという考えも成り立つ。これまでアマゾンはガジェットを原価以下で売る、と考えられてきたが、Oasisに関しては、機能×低価格=ベストセラーという常道を外して、ただ読書体験とデザインにフォーカスしたように見える。購入時に三色から選べる専用の革製「充電カバー」は、本体を磁石で装着し、Oasisの電池寿命(数週間)をさらに「数ヵ月」(公称値は未発表)に延長するという。The Vergeは、このカバーが50~70ドルで売れるものだとすると、Oasisは200ドルのVoyageと同等で、カバーは機能上の必要ではなく象徴的な意味を持つものではないかと述べている。もともとVoyageの電池寿命に不満を持っているユーザーはほとんどいなかった。

アマゾンの工業デザイン責任者、マーク・ウォリサー部長によれば、「革製カバーには個性と感情が込められている」という。それはこれまでこのガジェットに欠けていたものだろうし、アマゾンが避けてきたものかもしれない。Kindleのラインは今後も続き、Paperwhite/Voyageの改訂版は出るから、必ずしもOasisをトップにおいて考える必要はないのだが、画面と操作性が同じなら、E-Readerはやはり機能で価格差を出すべきだと思う。 (鎌田、04/14/2016)

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