アマゾンは5つの壁を超えられるか(1)

amazon-cat-280x150アマゾンは4月28日、今年最初の四半期決算を発表した。予想を上回り、売上が前年同期比28%増の291億ドルを記録。営業利益は4倍増の11億ドルとなった。 Fire TV Stick、Echo、Kindle/Fireなどのデバイスの好調に加え、クラウドサービス(AWS)が依然として高い利益率を実現している。20%台後半の成長率は、世界経済の景気変動の影響も受けていない。

戦略ターゲット市場のすべてで成果

Bezos7ベゾスCEOが強調したのは、デバイスがいずれも成功を収めたことで、戦略商品である Fire TV、Fireタブレット、Echoの3種が強調されている。 音声インタフェース市場のプラットフォームとなるAlexa/Echoは、さらに大きな市場への足掛かりを築き、タブレットは成熟し、低成長に移行しつつあるこのカテゴリにおいて、低価格製品でシェア3位を達成した。Fire TVもこのカテゴリをリードする存在になった。これらが、すべてコンテンツやサービスの消費のためのゲートウェイであることは言うまでもない。

アマゾンのeコマースの成長は、北米だけをとってもこの産業全体の成長率の2倍を超えており、その差がアマゾンのプラットフォームの独自性ということになる。Re/Codeのジェイソン・デル・レイ氏は、5月1日の記事でアマゾンの直線的成長を阻止/減速させる可能性のある誰かあるいは何かを探ろうと、5つの要因を検討している。

何が巨人の進撃を止めるのか

Amazon_prime1. プライム会員の増勢の衰え:アマゾンの最大の成長エンジンがプライム会員であることは、衆目が一致する。全世界の会員数は推定4,600万人で昨年は51%増加した。しかし、最近米国では年99ドルの前払いに加えて月払いオプションを加えており、これを減速の兆候とする見方がある。ベゾスCEOは新しい顧客層を取り込もうとしていると説明したが、飽和点に近づいたとするアナリストも少なくない。しかしプライムのサービス・メニューは(低コストで)増やす余地が大きいので、年会員を失望させることはない。

Amazon_India22. インドでの失敗:インドへの進出はかなり遅く、2013年に始まった。そこにはFlipkartという創業9年の新興企業がトップにいる。ベゾスCEOは、この将来の巨大市場に数十億ドルを投じると発表しているが、それ以上に人口が多い中国では、アリババのTmallやTaobao が立ちはだかっている。中国やインドはローカライゼーションが容易ではなく、投資と回収のサイクルは欧米とはまるでスケールが異なる。リテイルのような個性の強い市場で適応することは困難であり、そこで失敗する可能性は十分にある。アマゾンには長年のCEO側近でインド系の、アミット・アガルワル氏がおり、彼が指揮していることが事業の困難さを示していると言われる。

AWS3. AWSのライバルの増加:まもなく100億ドルのビジネスになるAWSは、規模拡大と利益率を両立させたことでアナリストを驚嘆させてきたが、マイクロソフトやGoogleなどのライバルが本腰を入れたことで価格競争が激化し、売上の伸びは鈍化している。とは言っても、まだ50%は超えている。デル・レイ氏は、アマゾンにとってのコアであるプライムをどこまで伸ばせるかは、AWSに懸かっていると見ている。

alexa4. 音声検索市場:アマゾンは昨年、音声インタフェースAlexaを見事にデバイス化したEchoで新しい市場のプラットフォームを構築することに成功した。これはアップルのiPod/iPhoneに匹敵することだが、Alexaと同等の技術を持つアップル、Google、それにマイクロソフトが巨額の投資で応戦しようとしている。つまりAWSのように成長と利益の二兎を得られる可能性は低い。インド・中国とは別のチャレンジだが、ライバルを含めたエコシステムのオーガナイザーとしては実績のあるアマゾンには自信があるだろう。

amazon_workplace5. 過酷な労働環境:アマゾンのビジネスにはドラマがないから、メディアは無理にでも「陰」を演出する。倉庫で、オフィスで、アマゾンで働く人々が疲れ切っている、とNYタイムズなどは好んで取り上げている。これは非人間的なまでに精密な、悪無限的に反復する(計画・設計・実装・運用・評価)ビジネスに対する内外のフラストレーションを反映したものだ。アマゾンがこの問題に真剣に取り組むならば、もはや資本主義の限界を超えることになるだろう。人間のやることに完全はあり得ないが、問題を改善への課題とエネルギーとして変える持続的システムをつくることは可能かも知れない。 (鎌田、05/06/2016)

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