アマゾンの「マンハッタン・プロジェクト」?

amazon-picture夏の暇ネタに近いものとも思うが、Amazon Booksが2018 (-19)年にマンハッタンで開店するかも知れない、というのはどうだろう。可能性は高い。しかし、重要なことは何をやるかだろう。これまでの「アマゾン書店」はオンラインストアの影でしかない。しかし、それがすべてである訳はないし、NYではそれ以上のものが求められるはずだ。

いま小売店舗で何ができるか

 

hudson-yards-01NYポスト紙(7/3)が、複数の(たぶん)噂をもとに伝えるところでは、場所は史上最大の都市再開発事業で知られる「ハドソン・ヤード」。マンハッタンの西、ハドソン川沿いにある列車庫を中心としたエリアだ。同紙の質問にアマゾンはNY出店についてコメントせず、サンディエゴについては年内に開店することを認めている。

このネタの価値は、アマゾンの書店と大規模再開発の取合せにあるのだろう。16棟の超高層ビルから成るプロジェクトは、いくらでも想像力を広げる余地がある。改修工事が行われるジェイコブ・ジャビッツ・コンベンション・センター(JJCC)は、BEA (Book Expo America)のメイン会場でもある。出版業界の膝元のマンハッタンに乗り込む、という構図は題材として悪くない。それに、NY市教育庁との間で大口契約の獲得に成功しており、NYを出版/教育事業の総合拠点とすることは、書店として以上の意味がある。筆者としては、アマゾンがNYに大規模拠点をつくることは十分に可能性があり、それはオンラインストアの機能を補うだろうと考える。

Amazon_BooksAmazon Booksはこれまでにシアトル、サンディエゴ、ポートランドに開店および開店予定を発表し、なお底を見せないまま、さらに拡大する方向にある。マンハッタンを外す理由は見あたらないし、その場合はB&Nやアップルがいる都心部よりは、新興地区でスタートするほうが新鮮さがある。アマゾンが同じ発想をするとは限らないのだが。

米国では商業活動/立地の大きな変化に見舞われており、かつて米国の消費行動を象徴した郊外のショッピング・センターの衰退が進み(一部では廃墟化)し、他方で市街地や住宅隣接地での再開発が進んでいる。独立系書店が盛り返していると伝えられるのもその流れに乗ったものだ。書店は、知的情報を呼吸して「生き」ている人の多い土地でないと生きられないし、逆に書店がある土地には「生き」ている人が集まり、コミュニティを形成しやすい。「生きる」とはライブ体験であり、それはオンラインで完結することはないものだ。 (鎌田、07/06/2016)

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